世の中の人間は意外にも「境目」が好きなようで、実際私も好きです。別にどんな境目も好きというわけではありませんが、好きな境目の1つに行政等の境というのがあります。全国的なサービスを提供している電力・NTT・郵便などの境界が好きな方は多数いらっしゃるかと思いますが、意外にももっと多くの人に身近な市区町村の境目にも面白いものが多数あります。
というわけで、今回はなまむぎさん(@[email protected])が作成している「 今日のキモ市区町村境 」について簡単に紹介し、作成者本人に「調べ方」や「作り方」を聞いてきたので、市区町村境が好きな方の参考になれば幸いです。
結論
- 「キモい」市区町村境が投稿されているタグ
- 別に毎日更新されているわけじゃない
- 着ぐるみすきー!上に投稿されており、最近再始動した
今日のキモ市区町村境
さて、「今日のキモ市区町村境」とは一体どういったものなのか気になっている方も多いかと思います。一番手っ取り早い手法としては現物を見てもらうというのがあると思うので、見ていただこうかと思います。
うーん、いい感じの境界線ですね。という感じで、「キモい市区町村境」と題しつつ「面白い市区町村境」が主に紹介されているといったものになります。市区町村境は一般論として自然物や人工物を基に引かれることが多いのですが、今回ご紹介したものはそうでもないものばかりです。
もちろん、これらを用いた境界線でも「キモい」市区町村境というのは存在しており、例えば以下のようなものがあります。
前者は牛久沼全体を我が物にせんとする龍ヶ崎市(牛久市ではなく!)、後者はかつて存在した米軍深谷通信所のために丸い境界線を描くこととなった横浜市泉区と瀬谷区の境です。こうしたものも「キモい市区町村境」として紹介されています。
この今日のキモ市区町村境はTwitterではなく、Misskeyサーバー「着ぐるみすきー!」上にタグをつけて投稿されています。着ぐるみすきー!上にある投稿はMisskeyに限らずFediverse上からリアクション等をしていただくことが出来ますので、興味があれば広めていただけますと嬉しいです。
作成方法
作成者のなまむぎさんとは何回かオフをしたことがある(直近だと8月12日のものが記事となっています)ので直接お話を伺い、どのように作成しているかを尋ねました。
キモ市区町村境を見つける際は、多種多様な地図サイトを活用しているとのことで、地理院地図をベースとしながら使いやすい地図を用いているそうです。また直近始めた「今日のキモ旧市区町村境」においては、日本歴史地名統合データベースの一部である「コロプレス地図」をつぶさに観察し、新たな「キモい」市区町村境を見つけているそうです。
こうして集めたキモい市区町村境に関して、なまむぎさんは色別に分けて分かりやすく紹介しています。色別にする際はその境目がある地域をトレースし、通常の地図ではあまり強調されない「境目」を強調しているとのことです。ある種の主題図を作成しているともいえるでしょう。
以上のような手間暇(?)をかけて作成された今日のキモ市区町村境は、ある程度ストックされる場合もありますが、基本的に1日1回をベースとして投稿されます。普段からそこにある市区町村境の「キモさ」が多くの人に広まっている姿は、傍から見ていても楽しいものです。
ちなみにネタを選定する際は、なまむぎさん自身の「なんとなく普通ではない」という感性を基にしているとのことです。私も実はネタ探しを手伝ったことがあるのですが、いくつか提案しても却下されることもあり(採用されたのもあります)、単なる「面白さ」・「異常さ」といった言葉では表せない、まさに「キモさ」が求められていると言えるでしょう。こうしたものに関して、興味がある方は色々と地図をにらめっこするのもまた面白いのではないでしょうか。
余談: 私の場合
私もそういったものが好きなので、ここにおいて現代における私なりの探し方を書いておこうかと思います。別にそんなに大したことをしていないので、参考になるかは分かりません。
まず、地理院地図Vectorを開き、横に生えた地図レイヤーの中から「編集」を選びます。編集をするところは好みで構いませんが、私は淡色地図にした後、市区町村境と都道府県境を赤くそして太くし、とても目立つようにします。この目立たせた中において、「やたらごちゃごちゃしているな~」みたいなところをある程度引いたところから探し、見つけ次第よりズームしていく…というのを繰り返すという手法です。
この方法というのは極めてシンプルですし、全くもって効率的とはいいがたいです。しかし、地理院地図は共有機能が充実しているので他人への共有が楽ですし、事前のセットアップに手間が全然かからないというところがあります。別に私は職業のようにキモ市区町村境を探しているわけではありませんので、ある程度のまさしく「遊び」があった方が楽しみながら続けられる、といった面もあります。
より効率的に探したい方は、そういった「キモ市区町村境」になりやすいところを重点的に探すというのもよいかと思います。このキモ市区町村境というものの多くは、平地-中山間地域における入会地や新田開発等の権利が「残ってしまった」というものがありますので、そうした地域の中で整理されていなさそうなほど良い場所をぐるぐる市区町村境に沿って地図上でお散歩するのもよいかと思います。
最後に
というわけで、「今日のキモ市区町村境」を紹介してみました。全くもって他人のふんどしを使った記事となって大変申し訳ないのですが、普通にいろんな人に見てほしいとのことで書いてみました。
実はこういった「キモい」市区町村境が好きな方は世の中に結構いらっしゃるとのことで、結果として内容が被ってしまうこともあることは作成者のなまむぎさんも認識しているとのことです。また、これとは関係は薄いもののなまむぎさんは「有名な」もの、例えば奈良県北山村であったり練馬区西大泉町であったりは触れないようにしているとのことです。(市区町村境って有限ですし)ある程度は他の方が紹介しているものと被った場合には相補的に扱っていただけると嬉しいなと個人的には思っています。
個人的には上で述べた通り、こういったものは大好きなので、無限に毎日続けてほしい…とは言いませんが長く続いてくれると嬉しいなと思っています。これを読んでいらっしゃる方の中に、そういった方がいらっしゃれば幸いです。