山田線が上米内駅~川内駅間で47日間の区間運休を10月6日から実施

JR東日本は毎年落ち葉による空転によって大幅な遅延が発生しているためとしている / 2025年07月29日

JR東日本の山田線は岩手県の中部、盛岡駅から宮古駅を結ぶ路線です。出発地と到着地にはある程度人口がいるものの、その間にはあまり人口がおらず、建築を行う際には「盛岡より山田に至る間はボウボウたる原野にして猿住める国なり、国家は巨費を投じて猿を乗せんとするや」と元鉄道大臣から批判があったことで知られています。

そのような山田線が昨年に引き続き10月頃に区間運休を実施するとJR東日本が発表したので、取り敢えずまとめていこうかと思います。

結論

  1. 2025年10月6日から11月21日まで、上米内駅~川内駅間で乗車可能な列車の運行無し
  2. 盛岡駅から上米内駅までは折り返し運転
  3. 川内駅から宮古駅までは本数が減少

落ち葉

一般的な「鉄道」として思い浮かべる鉄道は、その多くが「粘着式鉄道」に分類されます。この粘着式鉄道は、駆動力を車輪を通して伝え、レールとの間の摩擦が存在することによって前に進んでいくといった方式です。粘着式鉄道とは言えないものとして、ラック式鉄道(アプト式などの総称)やケーブルカーなどがあります。

このような粘着式鉄道においては当然と言ってはなんですが、レールと車輪との間の摩擦力(粘着力)を確保する必要があります。その際にレールと車輪との間に何かが挟まってしまっている場合、一般に摩擦力は小さくなってしまい、駆動力を伝えても前に進むことが出来なくなってしまいます。そのため車輪をいくら回しても前に進まない「 空転 」といった状態になってしまいます。

こうした事態を防ぐために、線路上に何かが存在しないようにすることが重要です。線路付近の植生を管理したり水圧で吹き飛ばしたりすることによってそもそも落ち葉がレールと車輪との間に挟まってしまわないようにしたり、砂まきを行うことによって摩擦力を増強させたりするといった方法が挙げられます。

山田線

一方でこのような施策を十分に行わなかったり、それでも追いつかなかったりすると空転が発生してしまい鉄道の運行に大きな支障をきたしてしまいます。そうなってしまった例がまさに今回話題となっている山田線です。山田線では落葉シーズンにおいて近年区間運休を行うようになったようで、昨年には10月15日から1か月間、利用客の多い地域の安定輸送を行うためとして運休を行っていました

2025年も同様の運休を行うことになったようで、JR東日本が「山田線の安定輸送確保に向けた秋期運転計画について」と題して発表したものによると、本年度は 2025年10月6日から11月21日 の間(47日間)で運休等を行うこととなったようです。理由としては「毎年落ち葉による空転によって大幅な遅延が発生しているため」としており、この間においては並行して運行されている岩手県北バスの106特急・急行バスを利用するように呼び掛けています。そもそも今年の4月1日より山田線とこの106特急・急行バスは「共同経営」が行われており、JRの乗車券でバスに乗ることが可能となっていましたので、「代行バス」といった形ではないという感じです。

具体的な運休区間としては、

  • 盛岡駅~上米内駅間: 終日折返し運転。一部時刻変更
  • 上米内駅~川内駅間: 終日運休
  • 川内駅~宮古駅間: 一部列車を運休。ラッシュ時間帯に合わせ、川内駅~宮古駅間または茂市駅~宮古駅間で折り返し運転

というような形となっています。現在のところこの47日間が終われば、通常のダイヤに戻ると見込まれます。

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最後に

どうせ止まるなら最初から止めてしまえということで運休するとのことで、振替バスも一応は用意されていますが、本質的な解決がなされておらずこの調子で毎年続きそうな気がしています。

個人的には昨年度のものよりも期間が1.5倍に伸びている点も気になります。昨年実施してもやっぱり駄目だったので期間を延ばしたか、既成事実を作るために徐々に伸ばしていき将来的に廃止の方向にもっていくのかは今後とも気にしていきたいと思っています。

Writer

Osumi Akari

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