富士山静岡空港は、静岡市から見て西にある牧之原市と島田市の高台に位置する地方管理空港です。東海道新幹線が真下を通っているものの主要なアクセスは自動車であることでよく知られています。
この度日本列島を横断した台風15号(PEIPAH)によって、富士山静岡空港に設置されている有料駐車場(P5)が水没したとSNS上で話題になっています。この記事では、その様子と空港による対応をまとめておきます。
結論
- 台風15号による降雨によって冠水
- 無料駐車場に停めていた多くの車に浸水
- 空港による補償は天変地異によるものとして無い
空港が冠水
富士山静岡空港はその立地の関係上主なアクセス手段としてバスや自家用車が使用されています。このために広大な駐車場が整備されており、第1駐車場と第5駐車場は有料、第2から第4駐車場は無料となっています。このような措置は空港の旅客ターミナルビルとの近さによって決められてると考えられます。
それらの駐車場のうち、旅客ターミナルの西側にある第5駐車場が、台風15号による大雨によってそこに駐車してあった車両もろとも水没してしまったということです。SNS上でその様子が以下のようにシェアされています。
仕事の車が水没しました。。
— 北川まりも (@marumarumo_k) September 5, 2025
スタッフさん達は立ち往生です。 pic.twitter.com/4cZ9EYSth5
【台風15号】駐車場が浸水した富士山静岡空港(読者提供) pic.twitter.com/U27JqWY5Pj
— 静岡新聞DIGITAL(編集部からおすすめ記事をお届けします) (@shizushin) September 5, 2025
一般に車は水深30cmを超えると走行が難しくなると言われており、写真等を見る限りそれらを優に越してしまっていると考えられます。このような状態ですと、水が引いた後になってもエンジン始動に問題が発生する可能性が高いと言え、台数も少なくないように見受けられることからある程度問題が長引くのではないかと思われます。
空港による補償は無し
このような状況に対して、富士山静岡空港は公式Webサイトを更新し、以下のような趣旨のことを述べています。
- 駐車場管理者として想定を超える雨量であった
- 天変地異等による損害は免責となっている
- そのため、各自の車両保険等で修理されたい
このため、各車両の使用者は(空港の駐車場という性質から静岡に戻ってき次第)各自の車両保険等を用いて空港からの移動と車両の修理が必要となると思われます。その場合における駐車料金等の扱いに関しては現在不明瞭となっています。今後に関しては公式Webサイトを確認されることをおすすめします。
過去にも冠水
ちなみに富士山静岡空港の第5駐車場は2024年8月27日にも冠水していたことが知られています。これは令和6年台風第10号の影響によるものと考えられます。
静岡空港の駐車場、無事水没 pic.twitter.com/dM2jb31nHf
— OJ (@bigmam1989) August 27, 2024
今回の冠水と比較すれば浅いものですが、この時点で大雨が降った際に冠水する可能性は実際に示されていたと言えます。
この地図は標高125m~135mまで1メートル刻みで作った色別標高図ですが、第5駐車場は周囲と比較して1メートル程度低いことが分かります。このため、第5駐車場の排水設備は第5駐車場のみならずその周囲に降り注いだ雨水のうち排水しきれなかったものまでも排水しなければならないと言えます。もちろんそのような状態となっていた場合、排水しきれないことはある種明白となっており、このことからも富士山静岡空港による駐車場の管理として微妙な点が出てきていると言えるかと思います。
関連リンク
- 富士山静岡空港の駐車場で停まっている車が水に浸かる 動かない車も確認 空港の運営会社が被害状況を調査中 - LOOK 静岡朝日テレビ
最後に
台風15号は台風そのものも多量の雨をもたらしましたが、富士山静岡空港のある牧之原市で大規模な(竜巻とみられる)突風被害をもたらすなどの被害をもたらすものでした。この上で、高台にある富士山静岡空港は相対的に被害が小さいと想定されるものです。しかしながらこのような規模の被害をもたらしてしまっています。
天変地異とはいえ、富士山静岡空港はあらかじめ駐車場を利用停止にするなどといった対処が不可能ではなかったはずです。また、空港の駐車場という性質からある程度の長期間車が停まっていると考えられます。
そのような場合において、浸水の危険がある場合は車を移動させることを認めさせる旨を約款に追加しておくなどといった空港側の対応があれば、今後こういった大雨が発生し空港の駐車場が浸水した場合でも被害をより少ないものに留めることが可能になると考えられます。後出しでかつ安全なところから石を投げているようなものであるとは思っていますが、今後の被害軽減のためにもそういった検討がなされることを祈っています。