本日、ニューヨークタイムズは「How a Top Secret SEAL Team 6 Mission Into North Korea Fell Apart」として2019年の第一次トランプ政権下で行われた、北朝鮮へのアメリカ海軍特殊部隊「SEALs」による失敗した上陸作戦を詳細に報道しました。これはDave Philippsさん及びMatthew Coleさんによる調査報道の形を取っており、極めて詳細なものとなっています。
この記事ではその調査報道の概略をまとめるとともに、考えられる影響について考えていきたいと思います。
結論
- 2019年にアメリカ海軍の「SEALs」が元山周辺の海岸に上陸したが北朝鮮に発見された
- 金正恩の通信を傍受するための機器を設置するためとしたが失敗
- ニューヨークタイムズによる調査報道のため、現状正当性は不明
2019年のアメリカと北朝鮮
2019年現在のアメリカと北朝鮮間の外交関係は、これまでと比較すると相対的に冷え切ってはいませんでした。2017年に亡くなったオットー・ワームビアさんの問題はあったものの、2018年には初の米朝首脳会談が開催され一時の危機は去ったように見えていました。
しかしながらニューヨークタイムズによると、ここにおいてアメリカは北朝鮮の情報を収集するうえで重大な欠陥がありました。北朝鮮内においての意思決定及びその推移をアメリカが収集することが極めて困難だったということです。このため、アメリカが北朝鮮の決定に関して他国と比較して十分な理解が出来えなかったということが言えます。
海岸に上陸
この解決策として、 電子機器を設置し北朝鮮内の通信を集める ことで少しでもその情報格差を埋めることが発案されました。このために2019年にSEALsチーム6が北朝鮮の東海岸にある元山の北部にある永興湾へ上陸し、機器を設置することが試みられました。場所等は不明ですが2005年にも同様の行為が行われたため、大統領の許可を受ける必要があったものの問題なく実行することが出来るとしていました。
しかしながら作戦の実行中に、その海岸付近に所在したボートにSEALsの潜水艦及び潜入装備が発見された可能性が示されました。そのためSEALsの隊員はライフルによって搭乗員を全員射殺しなおかつそれが発見されないような工作を行ったとのことです。結果として そのボートは民間のもの で、貝類を採っていたものだとされています。
この作戦は誰かに発見された場合は中止することが事前に定められており、SEALsはこれをもって撤退を開始し、作戦の目的は達成されなかったものの全員が無事に帰還したとのことです。バイデン政権は2021年度中に調査結果を主要議員に対して説明したようですが、調査結果そのものは現在でも機密扱いであるとのことです。
信頼性
以上がニューヨークタイムズの記事のあらましとなっていますが、ここにおける記述の信頼性は明瞭なものといえません。内容が内容なだけに第三者が裏取りを行うのは困難ですし、現在のトランプ政権が明らかな過去の違法行為をわざわざすぐさま認めるような行為は行わないと考えています。そのため当面は関係者の動きを観察し、反応を見るのが第三者が取りうる最高の選択肢となるかと思います。
最後に
時事通信が「米メディアは、米軍特殊部隊が2019年に対北朝鮮の極秘上陸作戦を決行したが、失敗していたと報じた」という物騒なタイトルの記事を送ってきたので思わず調べてしまいました。何度も本文中で述べている通り、この記事を書いている現在ではニューヨークタイムズの調査報道によるもののみとなっておりますので、信頼性が十分なものとは言えません。今後の様子を注視していきたいと思います。