前回の記事において扱わせていただいた通り、10月18日にイエメン沖のアデン湾において、カメルーン国籍のタンカー「Falcon」が炎上しているという事案が発生していました。ここにおいて炎上の原因は当初「飛翔体が原因である」とイギリス軍が発表していたものの、それに現在疑義が挟まれている状況となっています。
この記事においては、現在錯綜している情報を可能な限りまとめて、このサイトに訪れた方の参考となるようにしていきます。
結論
- UKMTOは原因が飛翔体ではない可能性について言及
- イエメン軍は関与していないと声明
- ただし原因は依然として不明
UKMTO
UKMTOはイギリス軍が運営しているサービスの1つで、そのWebサイト上から誰でも航行の安全に関わる事案等に関する情報を得ることが可能です。前回の記事の作成時点においてはUKMTOのWebサイト上にこれに関する記事が掲載されていませんでしたが、その後情報が掲載されました。
こちらから情報を直接確認することが出来ます。この情報によると、当初はUKMTOは不明な飛翔体を被弾したためとしているものの、その後「UKMTO is still unable to confirm the source of the explosion, we cannot rule out an onboard accident.」とし、船上の事故による可能性にも言及することとなっています。
当初UKMTOは何らかのシグナルによって飛翔体と思われるものを察知し、それを基に報道各社等へ情報を提供したものの、検証が進むにつれて不確実性が増したということでしょうか。一方、船上において事故が発生する原因としては、過積載やメンテナンス不足による漏洩が発生し、それに何かしらの火が引火して大きな火災となってしまうといったものが考えられます。
カメルーンは便宜船籍国として有名であり、2024年のParis MoUのブラックリストに分類されているように船体のメンテナンスにも不安がある可能性が高いため、メンテナンス不足に伴う火災発生を疑うのは妥当と言えると思われます。ただし、Falconがメンテナンス不足であるといった根拠は現状ありませんし、メンテナンス不足であったとしてもこれだけで火災が発生するわけではありません。
以上から、未だに飛翔体が原因である可能性はありますが、その可能性が下がったといった状態です。そのため、発火の原因が明らかとなっていない状況が続いています。
イエメン軍が関与否定
イエメンの通信社やテレビ局が日本時間19日1時頃から相次いで、イエメン軍がこの飛翔体等に関与していないという声明を報じています。
مصدر بوزارة الدفاع لوكالة سبأ ينفي ما تناقلته بعض وسائل الإعلام عن استهداف سفينة في خليج عدن وأن لا علاقة للقوات المسلحة اليمنية بهذا الحادث pic.twitter.com/xsM2q81CWO
— قناة المسيرة (@TvAlmasirah) October 18, 2025
ただし、イエメンには複数の武装勢力が存在しているため、イエメン軍が関与してなくとも他の武装勢力が関与している可能性は存在しています。特にこれらのソースはフーシ派のものではありません。このため、飛翔体が原因である可能性は相変わらず存在し続けています。
乗組員の救助
なお、炎上しているタンカーには乗組員が26人いたことが既に明らかとなっています。前回の記事で言及した通り、炎上しているタンカー「Falcon」の乗組員の救助は、EUによるアスピデス作戦によって行われています。
アスピデス作戦のWebサイトは前回の記事の最終更新(日本時間18日23時40分)後2回更新されており、通貨船舶であるMV MEDAによって24人の乗組員が救助され、ジブチへ既に向かっているとのことです。また依然としてFalconは炎上・漂流し続けており、インド人2名が行方不明のままであるとのことです。
大量の燃料を積載しているタンカーですので、消火活動は困難であることが予想されます。また、行方不明となっている2人の捜索についても多大な困難があることが予測されます。
関連リンク
最後に
前回の記事から内容をアップデートしている記事となっています。日本語での言及が相変わらず少ないですが、更新記事を書いてしまいました。
何かしらの参考になれば幸いです。