台北で元軍人の男が無差別襲撃を行い少なくとも4人死亡、ナイフと発煙弾を組み合わせ地下鉄駅や繁華街で

死亡した犯人の27歳男性は空軍を飲酒運転により除隊されており、25年7月から兵役妨害処罰条例違反で指名手配されていた / 2025年12月20日

19日、台湾の台北で27歳の男による襲撃が発生し、計10人が負傷(21時50分時点)しました。この記事では明らかとなってきた事件の概要と、容疑者の男に関する情報を簡単にまとめます。

特に死傷者数に関しては今後も変動が見込まれます。そのことに留意しつつ読み進めていただければと思います。

結論

  1. 地下鉄台北駅構内と中山駅周辺の繫華街で発煙弾とナイフを組み合わせた無差別襲撃
  2. 一連の襲撃で、犯人を含め少なくとも4人が死亡
  3. 犯人の男は元空軍兵で飲酒運転を理由に除隊、その後予備役となるが今年7月に兵役妨害処罰条例違反で指名手配されていた

襲撃を行った犯人の行動

報道によると、犯人は無差別襲撃を行う以前に、一般車両及び自宅に放火した後台北駅へと向かったことが明らかとなっています。これは警察の捜査を欺く目的であったと思われています。

これは初めにバイクへの放火を行い、その後複数の車両等に放火を行ったものです。これによって複数の車両等が燃えたほか、建物等にも被害が発生しているとのことです。

その後地下鉄台北駅のM7出口付近において、発煙弾を複数投げ込みコンコース内に煙を充満させたのちに、ナイフで周辺にいた人々を襲いました。男はこの時点でガスマスクをしていた様子がYouTube上にアップロードされている動画から確認することが出来ます。

この際に犯人の男性を抑えようとした57歳の男性が、左の肺及び心臓を鋭利な凶器で刺されたことにより亡くなったことが明らかとなっています。また、煙を吸い込んだ地下鉄職員の男性1人が負傷したことも判明しています。

その後犯人は移動し、地下鉄中山駅周辺において発煙弾を作動させつつ、周辺の人々へ襲い掛かりました。この結果少なくとも2名が亡くなり、それ以上の負傷者が見られたとのことです。犯人が発煙弾を交差点で作動させながらデパートに向かう様子が、ETtodayの記者によって撮影されていました。以下の動画(15秒頃)から確認することが出来ます。

その後、男はデパートの上階へ向かった後、警察に包囲された環境において建物から転落しました。東森新聞の記事において男が落下した直後の混乱を伺い知ることが出来ます。その後男は病院へ搬送されたとのことで、19時42分頃に病院で死亡が確認されたとのことです。

これらの行動は、TTVFTVの記事より、以下のような図としてまとめることが出来ます。台北の中心部において短時間の犯行が行われたことが分かります。

2025年12月20日深夜時点で判明している、19日の犯人の動きを地図上にプロットしたもの。TTV・FTVの情報を基にOsumi AKariが作成。

詳細な時間に関して報道によって小さなズレはありますが、大まかな時間に関しては問題ないと思われます。なお、警察によって犯人の住居に対して家宅捜索が行われており、犯人が2025年1月から借りていた住居には自力で作成した火炎瓶等があったことが明らかとなっているとのことです。

犯人の詳細

東森新聞によれば、犯人の27歳男性は、元空軍の兵士であった経験があるとのことです。この男性は空軍在籍中に飲酒運転によって不適格とされたことから除隊されたのちに、民間の警備員として働いていたことが明らかとなっています。

この期間も予備役として扱われていたようですが、転居を適切に届け出なかったことなどの理由により出頭命令を受けることが出来ない状態となったとみられており、このため兵役妨害処罰条例によって指名手配されていたとのことです。

なお、現在のところ共犯者は見つかっておらず単独犯であると思われているとのことです。地下鉄台北駅における服装と中山駅周辺における服装に若干の違いがあったことから、異なる犯人による犯行である疑惑があったとのことですが、捜査の結果同一人物であることが明らかとなっています。

関連リンク

最後に

現状から、よく計画された犯行であったことが分かります。このような事前に計画された様子があるにもかかわらず、容疑者が死亡したことによって詳細が不明となった事件として2021年に発生した北新地ビル放火殺人事件が挙げられます。

今後の捜査等について慎重に見る必要があるものと思われます。

Writer

Osumi Akari

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