侵食・運搬・堆積

みんな大好き河川の三作用 / 2022-10-01T00:00:00.000Z

このサイトに初めてお越しいただいた方には申し訳ないのですが、Aboutページに書かせていただいている通りこのサイトは私が「ネットの海に流しておきたいと思ったものを取り敢えず置いておく」ものです。そのためこのページが含まれているざっくりわかる堆積システムシリーズ(に限らずざっくりわかるシリーズ全般)は割と詳しい内容まで突っ込んで書いているので、内容が初心者にとって少し分かりづらいと考えている記事もある程度はあります。とはいえ「侵食・運搬・堆積」というメジャーなテーマを分かりづらく書く方が難しいので、この記事では頑張っていい感じに分かりやすく書いていこうかなと思います。

結論

  1. 水が作る地形の変化
  2. 侵食・運搬・堆積の3つ

地形を変える水

意外かもしれませんが、地形というのは長い目線で見ると変化していきます。今住んでいる場所がかつては水の底だったかもしれませんし、反対に山の上だったことも往々にしてあります。

このような(自然による)地形の変化は何によるものなのでしょうか。地形の変化には多くの要素が関わっていると言えますが、それなりに小さな時間的・空間的スケールでは水によるものが支配的であると言っても過言ではないでしょう。水は地表に存在する流体の中でそれなりに比重が重くかつ多量に存在するため、後ろで解説する「地面を削る」・「削ったものを運ぶ」・「削ったものを落とす」力が非常に強いからです。

もちろんこの3つの力は水だけが持っている力ではありません。例えば空気の流れもこのような力を持っており少なからず地形の変化に影響を与えています。しかしながら水による変化が分かりやすくかつ目に見えやすいので、このことは後々詳しく扱っていこうかなと思います。

水の三作用

さて先程触れた「地面を削る」・「削ったものを運ぶ」・「削ったものを落とす」の3つの力はそれぞれきちんとした名前がついています。毎回「地面を削る」力だの「削ったものを運ぶ」力だの「削ったものを落とす」力などと言っては舌が何本あったとしても言いたいことをしっかり伝えられないからですね。それぞれの力の名前は順番に「侵食」・「運搬」・「堆積」です。表にするとこんな感じです。

力の詳細ちゃんとした名前
地面を削る侵食
削ったものを運ぶ運搬
削ったものを落とす堆積

一対一対応しているのが3つあるだけなので簡単に見えるかもしれませんが、意外にこんがらがってしまっている人がいる印象があります。忘れてしまったらばこの表を見てそれぞれのちゃんとした名前が何を指している力なのかを確認しながら読み進めることをおすすめします。

あともう一つ忘れないでほしいのですが、これら3つの力は同時に起こり得ます。ある場所では侵食「だけ」、別の場所では運搬「だけ」、もうちょっと行くと堆積「だけ」という風にはなりません。その場所で侵食・運搬・堆積の3つの力が卓越していることからそのように見えてしまうことはありますが、基本的には3つの力のバランスが変化していると考えたほうが良いでしょう。

というわけでタイトルにも書いてありましたが、きちんとした名前が分かったところでそれぞれの働きについてざっくり見ていこうかと思います。

侵食

侵食(しんしょく)というのは簡単に言えば「地面を削る」力です。水が行うものとしては川底や川岸などを削っていくものが一番分かりやすいかなと思います。そうやって削られることによりV字谷などが上流部に形成されるのが、地形として分かりやすく目に見える部分でしょう。

運搬

運搬(うんぱん)というのは簡単に言えば「削ったものを運ぶ」力です。名前の通りですね。目に見えて地形を変化させるようなものではありませんが、侵食の結果削られた地面のかけらを下流へとドンブラコする力です。

堆積

堆積(たいせき)というのは簡単に言えば「削ったものを落とす」力です。「力か?」と聞かれると微妙な気はしています。侵食で削られ運搬で運ばれたかけらが落とされ溜まることによって、目に見えやすい地形としては中流部の始まりに見られる扇状地や、下流に見られる三角州などが形成されます。この三作用で一番分かりやすいものかもしれません。

関連リンク

最後に

前回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: デカデカ回る地形輪廻

というわけで侵食・運搬・堆積の三つの力について触れてきました。ざっくり説明できた気はしている。記事が短くなったけど。

これは本筋とは関係のない話なのですが、もし何も知らない段階で空気の流れによる侵食などを想定できたのは本当に着眼点がいいと思うので、そういった視点を見つける力は大切にしてほしいと思っています。しかしながら小学校の「土地のつくりと変化」や中学校の「大地の変化」の過程ではそこまで扱わないんですよね。いい感じに分かりやすくまとめられ上げる気がしないので、別記事で扱わざるを得なくなってしまいました。Please give me 筆力。

Writer

Osumi Akari