三角州の内部構造

シンプルなようでまあまあ複雑 / 2022-12-28T00:00:00.000Z

前回の記事で三角州について大まかに説明させていただきましたが、これまでの私が出してきたゴミ記事を見ていただいた方にとっては、若干中身が無かったかのように感じたと思います。というのも三角州はシンプルな地形と見せかけて実は様々な要素を勘案する必要があるため一つの記事に収めることが難しいためです。そのため今回の記事では三角州の内部構造についてざっくりと説明していこうかと思います。

結論

  1. 傾斜の違う3つの層
  2. 内部には様々な堆積構造

頂・前・底

三角州というのは堆積作用によって形成されます。と言っても一時のもので一気に形成されるのではなく、ある程度の時間をかけて形成されます。基本的にはゆっくりと運搬されてきたものがいくつかの層となっています。先にそれぞれの名前を出させていただくと、

  • 頂置層(topset bed)
  • 前置層(foreset bed)
  • 底置層(bottomset bed)

の3つです。それぞれの層は三角州の断面構造を見てみるとこのようになっています。

三角州の断面構造

頂置層は名前の通り一番上にある層、より分かりやすく表現すれば地上に住んでいる人間が観測できる層です。前置層は三角州の成長に伴って形成されていく層です。砕屑物がどんどん降り積もっていくことによって新しい前置層が形成されていきます。傾斜は約10度から30度程度のもので、頂置層と比較するとかなり大きなものとなっています。底置層は極めて水平に近い傾斜を持っており、海側から見た時の三角州の先端をなしています。当然ながら三角州の先端は明確に決定できません。

これらの層はある程度粗粒の砕屑物がある際にはっきり見える傾向にあります。考えてみれば当然で、層と層を区切る場所を示すものがないと区別できませんから。ちなみにこのような粗粒が目立つ三角州のことを「ギルバート型三角州」と呼びます。

また前置層の表面に堆積物が溜まっていき、安息角を超えてしまうと陸上の岩屑なだれのように(主たる原因は異なりますが)底置層の比較的細かい砕屑物を巻き込みながら崩れてしまいます。これの流れのことを一般に混濁流といい、これによって移動した後もう一度海底に堆積した堆積物のことを「タービダイト」と言います。

内部構造

三角州には層状の関係性があることを示させていただきましたが、それぞれの層の中にも特徴的な内部構造が見られます。もっともこれらの構造は三角州だから形成されるというよりも、三角州が形成されるような場所に作られる堆積構造といった方が正しいので、その点には留意していただければ幸いです。

代表的なものとして斜交層理として知られる構造が三角州に見られます。詳しい話は(大昔に私が立てた)日本語版ウィキペディアの記事を参照していただいた方が早いと思うのですが、これは若干角度が付いている堆積構造で、基本的に一定方向に卓越した水量の中で形成されるものです。

参考文献

  • 松倉公憲「地形学」朝倉書店、東京、2021年9月1日。ISBN 978-4-254-16077-2。 NCID BC09567566。OCLC 1268511660。国立国会図書館書誌ID:031624974 全国書誌番号:23586669。

最後に

前文で全力の言い訳をしていますが、要するに一日で生み出せるテキスト量では満足に三角州について説明できないということですね。また私が年の瀬に当たるということでこのブログとは別に大量のテキストを錬成しないといけないため余裕がほとんどないという点もこのように記事を分割している理由の一つとして挙げられます。余裕って重要ですね。

Writer

Osumi Akari