共テ2023年基礎無し地学について

全体のまとめ / 2023年01月21日

16日から全5回に分けて2023年版共通テストの基礎無し地学の解説(大問1大問2大問3大問4大問5)をさせていただいたOsumi Akariと申します。この記事では個々の大問に依拠しない全体としての諸々について書いていきたいかと思います。

結論

  1. ジオくん復活!!!
  2. 突飛な問題は少なかったかも

大問ごとの概説

ここでは各記事において分割して説明させていただいた大問ごとの概説を述べていこうかと思います。

大問1においては地球科学(というより科学全般)において必須でありながらも、しっかりと明言されない「記録の方法」を主題にしていたので、解いていて非常に面白かったものだと思います。大問2は良くも悪くもセンター試験らしさが残る大問であったと感じました。

大問3ジオくん改めジオさんが登場しており、共通テスト基礎無し地学の新たな時代を思い起こさせるものであったと言えます。大問4は若干ひねりがあったものの、比較的素直な海洋気象分野の問題だったと感じました。大問5については今回の基礎無し地学で最も良い大問だと思っています。個人的には「火星での天体観測」という夢のある設定に隠れがちな本質を問おうとする姿勢が好きです。

いずれの大問にしても、大問ごとのコンセプトと各問題とのリンクがほとんど見られない点があったことはあまり良い印象は受けませんでした。コンセプトはかなり良かっただけにその点が残念です。より多くの問題で関連性があると解いていて楽しい問題になるので、積極的に関連性を持たせていく方向になっていけば嬉しいと思います。

正答表

大問 問の番号 問題タイトル 問題番号 正答
1 1 2次元から2次元へ 1 3
1 2 偏光顕微鏡と鉱物 2 4
1 3 地質図と傾斜 3 3
1 4 温帯低気圧をスライス 4 2
1 5 絶対等級と見かけの等級 5 2
2 1 高度分布 6 2
2 2 3つの地震観測点 7 4
2 3 プレートと断層 8 2
2 4 偏西風と火山砕屑物 9 1
2 5 マグマの形成理由の違い 10 3
3 1 マグマの混合の思考実験 11 1
3 2 結晶分化作用 12 2
3 3 ジオさんとデスモスチルス 13 1
3 4 褶曲と断層 14 4
3 5 ホモ・サピエンスの誕生 15 4
3 6 人類に降り注いだイベント 16 1
4 1 高度10km~50km 17 2
4 2 気温の変化とオゾン層 18 3
4 3 地衡流 19 4
4 4 海洋水のアイソスタシー 20 2
4 5 緯度とコリオリ力と西岸強化 21 3
5 1 会合周期 22 3
5 2 最大離角 23 2
5 3 火星の年周視差 24 1
5 4 突然発生するフレア 25 1
5 5 地球視点から宇宙を見る 26 3
5 6 HR図と星団 27 4

関連リンク

最後に

全体の解説と言いながらほとんど過去の記事と事実の再構成といった記事になってしまったので、ここで全体の感想を簡単に述べさせていただきたいと思います。今回の問題は前年の問題と比較して大きな方針変更は無かったと思います。また一部の得点調整目的と思われる異常に簡単な小問を除けば、共通テストらしい適切な難易度であったと思います。今年度の理科2においては生物の難易度が極めて低かったことが話題となっていますが、地学はそのようなことが無くて安心しました。 もしそうだったとしても話題になっていない気はしますけど。 相変わらず「「地学」は,受験者数が1万人未満のため,得点調整の対象としません。」という素晴らしい文章が、大学入試センターから公開されている地学ですからね。

共通テストとなっても地学にはセンター試験時代と比較してあまり大きな変化が無いので、全国を頑張って探せば5人くらいはいるであろう共通テスト「らしさ」を求めている人にとっては不足を感じる問題であったな~という感想と、変に「らしさ」を出そうとせず実直な問題が多いのは良いという感想がせめぎあっています。といってもいい感じの問題であったので、個人的にはコンセプトとのリンクをよりしっかりした上で現在の方向性を続けていただければ嬉しいと思っています。

以上簡単ですが2023年の共通テスト基礎無し地学の解説及び個人的な感想を述べさせていただきました。大半の文章は役に立たないかと思いますが、参考になるかすかな部分を読み取って参考にしていただければ幸いです。

Writer

Osumi Akari

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