質問箱サービス「Peing」は8月15日にサービス終了を宣言しました。しかし、8月23日にサービスの継続を明言しました。これはサービス終了を宣言した際と同様に唐突なもので、様々な意見が再び飛び交うこととなりました。
この記事においては、その顛末とそれに対する反応を簡単にまとめておこうかと思います。
結論
- 8月29日以降もPeingは継続して提供される
- 譲渡先の社名は不明
- インフラコストに問題があるなどの主張がある
Peingのサービスは継続される
8月23日、PeingはURLを間違えながら、「【重要】事業譲渡&サービス継続のお知らせ」と題したお知らせを公開しました。
【重要】事業譲渡&サービス継続のお知らせhttps://t.co/nfc56Clw72
— 【公式】Peing-質問箱- (@Peing_net) August 24, 2025
※すいません、URL間違っていました。 pic.twitter.com/wn3jT77Agw
このお知らせにおいては当初サービスの終了日として設定されていた8月29日以降においてもこれまでと同様にサービスが提供されることが明言されています。有料機能においてもそれが。またそれに加えて譲渡先の企業において、
- サービスの安定化
- インフラの最適化によるレスポンス改善
- より安定したサービス提供
- ユーザビリティの向上
- UI/UX改善
- 新機能の検討
といった改善が行われると宣言されています。24日の時点においても譲渡先の企業が明示されていませんが、公式アカウントによると「現状の質問箱にはアダルト広告などが入っておりコンプラ的に社名開示はリスキーと考えて保留」しているとのことで、そのうちプライバシーポリシーや利用規約の変更といった形で譲渡先の企業が明らかとなる見込みであると思われます。
インフラコストに問題か?
このお知らせが出た後にはこれまでの運営色が薄い公式アカウントとは打って変わって、譲渡先の企業が積極的に情報を発信し続けています。ここにおいて以下のツイート(現: ポスト)が話題に上がりました。
また、コード全体がRailsで作られていることもサーバ負荷の原因となっており、部分的にでもGoやNodeへの置き換えを予定しております。
— 【公式】Peing-質問箱- (@Peing_net) August 23, 2025
これらの過程で、動作が不安定になる場合などあるかと思いますが、何卒ご容赦いただけますと幸いです。
今後とも質問箱を何卒よろしくお願いいたします。
(3/3)
Railsとはプログラミング言語Rubyを活用したWebフレームワーク「Ruby on Rails」のことを指しており、引継ぎ先の企業において一部コンポーネントがGo言語やNode.jsで書き換えがなされることを示しています。しかしながらRailsで作られていることは確かにサーバーに対して負荷をかけうる原因ではあるものの、それが大きな原因とならないという意見もあります。Peingのオリジナル開発者であるせせりさんは以下のようなツイートを行っています。
質問箱の件は、「Rails使うと儲からないの?」と勘違いされたくないので一応言っておきますが、(細かい数字は忘れましたが)ぼくが渡した時点では毎月数百万黒字が出ている状態で渡したはずです。どんなに最低でも200万は黒だったはずです
— せせり|個人web開発者 (@sesere115) August 24, 2025
だから戦略やインフラの失敗の方が本質だと思います
富豪的な使い方をしてエグレス料金が跳ね上がってたり、「Railsに問題があるのではなくインフラに問題がある」という状況なんじゃないかなーと思っちゃいます(譲渡後にどのような機能が追加されたか知らないのであくまでもベース機能に関してですが)
— せせり|個人web開発者 (@sesere115) August 24, 2025
蛇足ですが、そもそも設計時点で
これに限らずawsは全てが高いので採用するのは最後の最後の選択肢だと思ってまずは他の手段(vpsの並列化/fly.ioなどのPaaS)を優先して考えるべきかなーと
— せせり|個人web開発者 (@sesere115) August 24, 2025
収益化構造がしっかりしてるサービスならともかく、viewを伸ばす=収益となる広告型サイトでエゲレス料金の高いawsを使うのは現実的じゃない
これについては私も同じような意見で、何でもかんでもクラウドに載っけるべきではないと思っており、普段からケチケチ開発/運用をしているわけですが、こういったサービスにおいては変にクラウドを全採用するべきではなくDBをスケールさせフロントは適当なVPSにでも置いて適切なCDNを挟めばいいかなと思っています。ちなみに現状のPeingは以下のツイートによるとGoogle Cloud Platform(GCP)を使用しているようです。
■何にそんなに費用がかかっているのか?
— 【公式】Peing-質問箱- (@Peing_net) August 24, 2025
→ 現状で、アプリケーションサーバ(Compute Engine)が月20万円、Cloud SQL(DB)が月40万円、その他もろもろとなっています。
DBが3TBあり、ストレージ料金だけでエグいです。不要なデータも保存しているようなので、その削除も課題になりそうです。
Peingのメインユーザー層を考えるとビビるくらいの技術的な話がポンポン出ている風景はかなり面白いので、今後とも眺めていきたいと思っています。
関連リンク
- Peing質問箱、サービス終了を撤回--「事業譲渡で存続、心より嬉しく思う」 - CNET Japan
最後に
前回の技術関係の記事: Googleニュースから流入が来るとGSCに結果が出てくるようになる
取り敢えずPeingは継続運営されるということで、Peingのユーザーの方にとっては一旦安心することが出来たかと思います。しかしながらまだ不明瞭な点も多く、特に8月29日以降の運営によってどのようにPeingが変わっていくのかについて少しは気になっています。
引継ぎ先の運営者が「中の人」として質問箱を開設したとのことで、質問がある方は質問をPeingで送ってみるとよいかと思います。