Facebook(現: Meta)が提供しているSNS「Threads」は2023年7月にリリースされており、同年12月14日からMastodonやMisskeyと接続可能なようにActivityPubを使用したFediverseへの対応を開始していました。当時は試験的な対応でしたので接続できるアカウント等も極めて限定的でしたが、その後徐々に機能を強化し現在ではThreadsにアカウントを持っている人なら誰でもオプトイン形式で「Fediverse機能」を使用することが出来るようになっています。
しかしながら、12月19日に公開されたインタビュー「What's next for Threads」において、Threadsの責任者であるコナー・ヘイズ氏が 「Fediverse機能」がもはや積極的に開発されていないことを明らかに しました。この記事ではその概要と影響に関して簡単にまとめます。
結論
- Threadsの責任者が「我々はそれ(ActivityPub)をサポートしており、維持もしていますが、アプリが飛躍的に成長するための原動力として語るようなものではありません」と発言
- 今すぐにActivityPubが切られるというような話ではない
- 今後の方針は不明瞭
サポートはするが…

2025年7月にThreadsの責任者に就任したコナー・ヘイズ氏は、2025年12月19日に公開したインタビュー「What's next for Threads」において、Threadsの今後について詳しく語っています。Threadsを「世界で何が起こっているかを話すインターネット上の場所(the place on the internet to talk about what's going on in the world)」にしたいといった、将来のThreadsのあり方について話したものです。
ここにおいて、Fediverseに関して以下のような発言をしています。
It’s something that we’re supporting, it’s something that we’re maintaining, but it’s not the thing that we’re talking about that’s gonna help the app break out
日本語訳: 我々はそれをサポートしており、維持もしていますが、アプリが飛躍的に成長するための原動力として語るようなものではありません
これは ThreadsのFediverse機能がもはや積極的に開発されていない ことを示しています。公式には一切告知等が無いため今後もしばらくの間は維持されると思われますが、今後の方針は不明瞭であると言えます。
2023年のインタビューにおいて、MetaのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、以下のようにオープンプロトコルや分散型プロトコルといったものに関して「always believed in this stuff(常にそうしたものを信じてきた)」と述べています。
Interviewer: This hasn’t happened yet with Threads, but you’re eventually going to hook it into ActivityPub, which is this decentralized social media protocol. It’s kind of complicated in layman’s terms, but essentially, people run their own servers. So, instead of having a centralized company run the whole network, people can run their own fiefdoms. It’s federated. So Threads will eventually hook into this. This is the first time you’ve done anything really meaningful in the decentralized social media space.
Zuck: Yeah, we’re building it from the ground up. I’ve always believed in this stuff.
しかし、それからわずか2年でオープンで分散型のプロトコルに関する機能の積極的開発を止めてしまったことを示しています。
ThreadsとFediverse
「Fediverse Report」によれば、Threadsの「Fediverse機能」は積極的に使われているとは言えない状況だったとのことです。Fediverse Reportの2025年1月時点における調査に基づけば、 mastodon.social が把握しているThreadsのアカウント(すなわち、Fediverse機能をオンにしており mastodon.social に認識されているThreadsのアカウント)は25000アカウント程度であり、公開されているThreadsのユーザー数である数億といった数からすれば極めて少ない数字といえます。
さらには(意図的かどうかは不明ですが)ThreadsはFediverseユーザーをフォローすることをThreadsユーザーよりも難しくしくなっています。このためかThreads側から何らかの mastodon.social のアカウントをフォローしていたユーザーは わずか800アカウント 程度であったとのことです。
Fediverse Observerによれば、mastodon.social は300万ユーザーの登録があり、直近の月間アクティブユーザー数(MAU)は25万~30万ユーザー程度で推移している、Fediverseにおいて巨大なサーバーの1つです。Misskey系サーバーの中で最大のサーバーであるMisskey.ioのサーバー情報によれば、Misskey.ioは68万ユーザーの登録があり、1日あたり数千人~数万人規模のアクティブユーザーがいるとのことで、その規模感が伝わります。そのような mastodon.social でさえそのような状況でしたので、Fediverse全体で見たとしてもほとんど活用されていなかったと言えます。
関連リンク
- Fediverse Report -#147 - Connected Places
最後に
前回の技術に関する記事: JR九州がタッチ決済乗車を本格スタート、福岡県・佐賀県内の一部路線で2026年4月から
ThreadsのFediverse対応は当初から規制当局対策や「オープン」というポーズを示すためだけであったという指摘は、ActivityPub対応当初から行われてきました(参考)。私も個人的にはFacebookのこれまでの所業を考えると、妥当な指摘だとは思います。ただ私自身もThreadsのアカウントをいくつかフォローし、gihyo.jpの更新情報などは有効活用させていただきました。
Fediverse側に立ち位置を置いている人間としては、この機会にThreadsだけではなくFediverseにもアカウントを開設していただきたいと思っています。また、Blueskyに既にアカウントを開設している場合はBridgy Fedを活用していただければ、一応はFediverseにも投稿を広めることが出来ます。個人的には検討していただけますと大変助かります。
話は変わりますが、普段私は@[email protected]を情報収集アカウントとして活用しており、主に英語圏の情報関連の情報は主にここから得ています。ただし、実はこれを報じたConnected Placesの記事を直接受け取ったわけではなく、フィーナビさんのまとめを参考にさせていただきました。この場にてお礼申し上げます。情報収集能力を強化したいという気持ちもありつつ、単純に追いきれないのも…という微妙な気持ちをずっと持っています。何かいい解決策があったら教えてください。