アメリカ及びイスラエルは、昨日の15時頃(日本時間)からイランに対して攻撃を開始しており、これは月をまたいだ3月1日時点でも継続しているものと思われます。攻撃を開始する際、トランプ大統領はTruth Social上に8分ほどの演説動画を投稿し、攻撃の意義等を説明していました。
日本時間1日6時37分、トランプ大統領はTruth Socialで新たな投稿を行い、イランの最高指導者であるハメネイ師が死亡した旨の発表を行いました。この記事ではその概要と得られる限りの情報を簡単にまとめます。
結論
- トランプ大統領が「ハメネイは、歴史上最も悪質な人物の一人として、死んだ」と投稿
- アメリカ・イスラエルの複数のルートから死亡が報告されている
- 権力の空白の想定が楽観的と思われる側面も
Truth Socialへの投稿

トランプ大統領は日本時間1日6時37分、Truth Socialに対して長文の投稿を行いました。これは複数のメディアにおいてハメネイ氏の死亡説が流れる中行われたもので、この投稿に伴ってハメネイ氏の死亡の確証が大きく高まったと言えます。日本語訳は大まかに以下のようなものです。
ハメネイは、歴史上最も悪質な人物の一人として、死んだ。これは、イランの人々にとってだけでなく、ハメネイとその血に飢えたチンピラ集団によって殺されたり、切り裂かれたりした、すべての偉大なアメリカ人、そして世界中の多くの国々の人々にとっても、正義である。彼は我々の諜報機関と高度な追跡システムを回避できなかった。そして、イスラエルと緊密に連携し、彼や彼と共に殺された他の指導者たちは、何もできなかった。これは、イラン国民が自国を取り戻すための単一で最大のチャンスである。我々は、彼らのイスラム革命防衛隊、軍、その他の治安部隊や警察部隊の多くが、もはや戦いたくないと考えており、我々からの免責を求めていると聞いている。昨夜私が言ったように、「今なら免責を得られる、後で得られるのは死だけだ!」ハメネイの死だけでなく、国が一日で、非常に破壊され、さらには消滅させられたという事実から、イスラム革命防衛隊と警察がイランの愛国者たちと平和的に合流し、国を本来の偉大さ、それに値する偉大さ、取り戻すために一丸となって協力することを願っている。そのプロセスはすぐに始まるはずだ。ハメネイの死だけでなく、国は一日で、非常に破壊され、さらには消滅させられたのだから。しかし、激しくピンポイントな爆撃は、中東全体、そして世界の平和という我々の目標を達成するために、週を通して、あるいは必要な限り、中断なく続けられるだろう!
この件にご注目いただき、ありがとうございました。
大統領 ドナルド・J・トランプ
この投稿以前はアメリカやイスラエルの首脳陣より、断片的に死亡の可能性が伝えられていました。ハメネイ氏の邸宅が破壊されている様子は昨日の時点で明らかになっていましたが、ハメネイ氏の動静及び生死は不明である状態が続いていました。
イラン側の反応
一方で、イラン側においてはハメネイ氏が死亡したという情報は否定されています。攻撃が開始された直後はテヘランに滞在していなかったとされており、安全な場所に避難したとされていました。紛争下において情報が錯綜している状況下ではありますが、日本時間の昨日夜にアメリカのNBCニュースのインタビューに応対したアラグチ外相は「私の知る限り生きている」としています。
A Decisive Blow to Enemy#Iran pic.twitter.com/TgisXNqFzo
— Khamenei Media (@Khamenei_m) February 28, 2026
また、トランプ大統領の投稿の3分後となる日本時間6時40分には、ハメネイ氏に非常に近しい「Khamenei Media(@Khamenei_m)」というXアカウントより、「A Decisive Blow to Enemy(敵への決定的打撃)」と題された50秒の動画が投稿されています。この動画はハメネイ氏の演説及びアメリカ・イスラエルによる被害の場面を組み合わせたものとなっており、反撃を強く促すものとなっています。この動画においてハメネイ氏の生死に関して言及はされていないものの、一定のメッセージ性があると考えられます。
تبهکاران صهیونیست و آمریکائیان بیصفت را پشیمان میکنیم.
— Ali Larijani | علی لاریجانی (@alilarijani_ir) February 28, 2026
سربازان سلحشور و ملت بزرگ ایران درسی فراموش نشدنی به دوزخیانِ ستمکار بین المللی خواهند داد.
他にも攻撃を生き残った、最高指導者の顧問であるアリー・ラリジャニ氏は「我々はシオニストの犯罪者と無恥なアメリカ人を悔い改めさせるだろう」と非難の言葉を投稿しています。ラリジャニ氏は2008年から2020年までイランの国会議長を務め、大統領選挙への立候補も複数回行っている人物です。
最後に
昨日の演説中においても言及されていた通り、トランプ大統領はイラン人が自ら新しい政府を組織することを強く期待しているものと思われます。この攻撃はイラン国内における経済的な理由を主とした反体制デモに続く流れであることは否定できず、昨日の演説においては「あなたたちの政府を乗っ取ってください。それはあなたたちが手にするものです。これはおそらく何世代にもわたって、あなたたちにとって唯一のチャンスとなるでしょう」と、内からの新体制樹立を期待しているものと考えられるためです。
しかしながら、1978年に始まったイラン革命から間もなく50年が経とうとしている現在、ハメネイ氏に関連する勢力、特にイスラム革命防衛隊はイラン社会において重要な地位を占めるに至っています。イスラム革命防衛隊は単なる「親衛隊」のようなものではなく、イラン国軍と匹敵する能力を持つ軍事組織である上に関連企業が多数存在している、イランの経済的にも重要な役割を果たしている組織です。そのような組織が丸々(もし成立したとして)"新体制"側につくとは考えにくいと考えられます。
このような場合において権力の空白が生じてしまった際、多くの場合は泥沼の戦争に陥る可能性を考慮しなければなりません。イランには最高指導者を選出する定員88の「指導者選出専門家会議」が存在しますが、このような状況下では適切に機能するとは思えませんので、現在の政府の地位が続いた場合においても権力の空白が発生する可能性が高いと言えます。例えば1979年のソ連による「アフガニスタン侵攻」においては、政府の新体制である「アフガニスタン民主共和国」は主要な拠点の確保に成功したもの、これに反対するムジャーヒディーンと10年以上にわたっての戦争が続けられる結果となっています。
現状のイランも同様に、 イラン国内に存在する様々な勢力による長い紛争が火を噴いてしまう可能性が現状では存在してしまっている と言えます。イスラム革命防衛隊も一枚岩ではないでしょうし、イランには石油に留まらない多様な資源を有しており、紛争の継続に一役買ってしまいかねません。すなわち、紛争の当事者が2つや3つではなくより多い数となってしまい、ミャンマーのような複雑な構造となってしまいかねないということです。
さらにはカタールやバーレーン、クウェートといった国々にとっては唯一といっても過言ではない海への出口であるホルムズ海峡に面しており、イラン国内の紛争は中東全域を大きく振り回す事態になりかねません。もし火を噴いてしまえば、イランが1つにまとまることは甚だ困難となってしまいかねず、 長い紛争が地域に影を落とすこととなる でしょう。「外部から政権の状態を変えようとしている」という点においては1970年代末のアフガニスタンと同様ですが、それよりも複雑な事態が生じてしまう可能性があります。
日本時間午前3時の時点でアメリカ中央軍(CENTCOM)はアメリカ兵の死者・負傷者の報告は無いとしており、軍事作戦としては極めて成功しています。しかしトランプ大統領は「激しくピンポイントな爆撃は、中東全体、そして世界の平和という我々の目標を達成するために、週を通して、あるいは必要な限り、中断なく続けられるだろう!」とし、いつこの攻撃が終了するのか(米軍はいつこの紛争から手を引くのか)が不明瞭となっています。
このような状況においてトランプ大統領は「我々は、彼らのイスラム革命防衛隊、軍、その他の治安部隊や警察部隊の多くが、もはや戦いたくないと考えており、我々からの免責を求めていると聞いている」などと発言しており、アメリカに対して降伏寸前であるかのような投稿を行っています。そしてこれらの暴力装置と「愛国者たち」が合流して「偉大さ」を取り戻すために一丸となることを願っているとしています。
これはあまりに楽観的過ぎるといえ、今後のイラン情勢の不確定性を増しているのではないかと思います。しばらくはイラン関連の情報を注視する必要があるのではないでしょうか。