暗号化されたオフィススイート「Proton Workspace」が公開、1ヶ月あたり12.99ユーロから

Protonの既存の製品をまとめて使えるプラン、パスワードマネージャーやVPNも / 2026年03月31日

Protonは暗号化メールサービスProton Mailをはじめ、スイスを拠点とした様々なサービスを提供しています。これまではプライバシー保護を重視したコミュニケーションを行うMeetやVPN、セキュアなデータ保護を行うDriveやその上で作業を行うDocsなどといったサービスを提供してきました。

31日、「Proton Workspace」が発表されました。この記事ではその概要と機能を簡単にまとめます。

結論

  1. 既存のサービスをまとめて使えるようにしたもの
  2. Proton Business Suiteを利用中であればStandardに無償アップグレード可能
  3. ビジネス向けのツールであり、無料版は存在せず

Proton Workspace

3月31日、Protonは公式ブログにおいて「 Proton Workspace 」を発表しました。これには暗号化されたメール・パスワードマネージャー・VPN・クラウドストレージ・AIアシスタントが含まれているオフィススイートです。

Proton Workspaceのプラン比較ページのスクリーンショット

これらの多くは既存のサービスであり、これが1つの支払いによってまとめて使用できるようになった形です。メールのみのプランなどは継続して提供されるとのことです。

Workspaceとしての無料プランは存在しませんが、各サービスで個々に提供されている無料枠でそれぞれのサービスを利用すること自体は可能です。既にMailやDriveなどの機能をまとめたプランである「Proton Business Suite」を使用している場合は、後述のStandardへ無償でアップグレードできるとしています。

価格や機能

StandardとPremiumの2種類が用意されており、前者は年間払いで1ユーザーあたり12.99ユーロから、後者は1ユーザーあたり19.99ユーロから使用できるとされています。PremiumはProtonが提供しているAIアシスタントであるLumo AIを無制限に利用出来るほか、より高度なAIモデルへのアクセスが提供されるとのことです。Premiumには他にも「Proton Scribe」というProton Mail上で使用可能な作文機能や、企業が規制要件を満たすためのメールの削除時期などを設定できる機能も追加されるとのことです。

また31日に正式リリースされた「Proton Meet」も含まれています。Proton MeetはMLS(Messaging Layer Security)を用いて通信を行うことにより、通信内容が保護されるとしています。このProton Meetは無料版では最大50人・1時間の通話のみ可能ですが、Workspaceに加入するとStandard版では最大100人・24時間、Premium版においては250人・24時間の通話が可能になるとのことです。

関連リンク

最後に

正直既存のサービスのリブランディングにしか見えない、というところはありますが、この売り方を始めたことはProtonが競合他社としてMicrosoft 365Google Workspaceを明確に意識し始めたということでしょう。これまでのProtonはどちらかと言えばメールサービスやVPNを主力としており、このような「オフィススイート」としては力不足であることは否めませんでしたが、近年リリースが続いているDriveやDocs、Meetといったサービスの登場によって、オフィススイートとしての機能をあらかた備えたものと判断したということでしょうか。

気になる点としては、各ページにおいてヨーロッパに拠点を置いていることによる主張が多く見られることです。このことによってデータの開示命令などに対して対抗できる旨などが記されています。

確かに近年のアメリカのデータ開示に関する法案の動向は、明らかにプライバシーを阻害する方向に向かっていると言えます。しかしながら、EUも児童ポルノ対策などと称して明らかに無意味な検閲措置の導入が繰り返し提案されており、必ずしもプライバシーが強固に守られているとは言えない法域です。スイスもEUの政策に追従する場面も多いことからして、本質的な保護が提供されているとは言えないかと思います。

3月の上旬にはProtonの保有する支払いデータが、FBIの求めに応じたスイス当局に対して引き渡された事案が発覚したこともあり、Protonに乗り換えたからと言って完全に匿名性などが提供されるわけではないことが(初めから分かっていたことではありますが)理解されつつあります。Workspaceを契約するような企業には匿名性は必要なく、むしろ暗号化が正しく行われるかどうかを重視するでしょう。もちろんそのような点についても言及されていますが、Protonがヨーロッパに拠点を置いていることをことさら重視する必要があるのかについては疑問に思っています。

Writer

Osumi Akari

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