迅速測図をどうにかしてGISで使いたかった

来年までの運命。 / 2022-07-01T00:00:00.000Z

日本には山県有朋が作成を命じた「迅速測図」というものがあります。これは明治時代に旧日本陸軍が作成した全国をざっくりと測量した地図で、当時の日本の姿を写し取ったものとして非常に価値があります。

幸いなことに一枚も欠損することなく今日まで伝わっているのですが、これをネットワーク経由で一部とはいえ閲覧できる、しかもGISソフトウェアから読み込める形にしたものが農研機構です。大変にありがたいと思っています。まあ使えなくなるのですが…。

結論

  1. 私のプログラミング能力が劇的に向上するか、ファイル命名規則が分からないと2023年3月末でアクセスできなくなる
  2. モノクロか索引だけなら国土地理院経由で見られる

ネット経由で地図を見る

恐らく多くの方はGoogleマップを使用したことがあるかと思います。拡大をしていくと地図が徐々に読み込まれていき、遠くから見ていると主な道しか表示されなかったけれども、とても細かいところまで見ることができるようになります。

Googleマップはよく分からない利用条件があるAPI経由で情報を取得しています。しかし世の中はプロプライエタリなもののみで溢れているわけではないので、こういったネットワーク越しの地図の取得にはオープンな方法が複数あります。

例えば、国土地理院の提供する地理院タイル一覧に載っている通り、XYZにそれぞれ北緯・東経・ズームレベルを入れることでアクセスできます。もちろんこれを手動で行うというよりは、QGISなどのGISソフトウェアや、Leaflet.jsなどを用いたWebサイトからのアクセスを想定しています。

この方式は単純で便利なのですが、複数の地図を一つのURLで提供することが難しく、多くの地図が存在する場合設定が煩雑となってしまいます。そのためWMSというものがあり、パラメータを含めたPHPファイルを要求することにより、地図タイルをサーバーに要求できる仕組みとなっています。

歴史的農業環境閲覧システム

もちろんWMSを用いたサーバーは多数あるのですが、そのうちの一つが農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)が提供するものです。これは明治時代の迅速測図の一部を公開しており、関東地方のかつての姿を簡単に閲覧することができるシステムの一部です。CC BY 2.1で公開されているため再利用も簡単です。

動画編集の練習用に作成した動画が残っていました。どのようなものなのかについては以下の動画をご覧ください。

Direct link of this video on YouTube

農研機構のWMS鯖

さて本来このシステムはかつて関東平野ではどのような農業がおこなわれていたのかを見ることが可能なシステムです。しかし機能はこれだけではなく、農研機構WMSサービスで、先程ざっくり紹介させていただいたWMSサーバーが運用されており、カラーで高画質な上にある程度の位置合わせ(誤差は最大100m程度らしい)までしてあるデータをGISソフトウェアから利用することができます。

https://aginfo.cgk.affrc.go.jp/ws/wms.php?とソースを指定するだけで簡単に迅速測図を使えて便利ですね。

農研機構「本サイトは研究開発業務で使用することがなくなりました」

2022年4月7日、「サイト廃止のお知らせ」というページが公開され、以下の文章がデカデカと掲げられました。

本サイトは2023年3月31日までに閉鎖します。
サーバ機材が故障すると、それより前に閉鎖する可能性があります。
サーバ停止等については Twitter(外部サイト)でご確認下さい。

農研機構が農業者向けに公開しているWAGRIのAPI一覧ページを見ても地図APIには土壌図などしかありません。オンラインで迅速測図を閲覧する方法は絶たれてしまったのでしょうか。

ファイルの命名規則が分からない

このサイトはCloudflare Pages上にあるものの、ドメイン自体は別企業のサービスで取得したため、その企業の提供するサーバーにある程度データを置くこと自体は可能です。そのためサイトが閉まる前に全データを落としておき、自分用に認証をかけた上でWMSサーバーを運用するという安易な発想をしました。

しかしこれを行うためにはファイルの命名規則を理解する必要があります。というのもデータがhttps://habs.rad.naro.go.jp/rapid16/{2桁}/{5桁a}/{5桁b}.pngのような形のURLで返されるのですが、{2桁}の部分がズームレベルであるということはすぐに分かったものの、その後ろにある{5桁a}/{5桁b}の部分がNS/EWという連番形式であることしかわかりませんでした。

そのためどこからどこまでの番号を指定して(サーバーに迷惑をかけずに)落とせばいいのか分からないため、途方に暮れてしまいました。

モノクロなら…

一応モノクロで良ければ国土地理院の地図・空中写真閲覧サービスから閲覧することが可能です。さらに索引と荒い画像であれば地理院の古地図コレクションの一覧ページから見ることは可能です。

しかしどちらもXYZファイルなどを配布していないため、ブラウザからの利用となってしまいます。つまり今までのような利用の代替は見込めないということですね…。

もしこの記事を見ている権限持ちの方へ

勢いだけで書いたので文句だらけになっているかと思いますが、サーバー維持代を出してあげてください。

関連リンク