「CTスキャン」というものをご存じでしょうか。実際に受けたことはなくても病院でCT室の前を通ったり、ドクターXなどの医療ドラマでもよく出てくるので名前くらいは知っているかもしれません。私は医療技師ではないので詳しい仕組みは知りませんが、CT撮影では様々な方向から放射線を照射し、その吸収度合いから逆算して身体の中の物質の存在を明らかにするというものらしいです。
この「CT」というのは「computed tomography」という英語の略なのですが、後半の「tomography」というのは「輪切りにして写真を撮る」といった意味があります。今回触れるのは同じトモグラフィーでも、地震波を用いた地球のトモグラフィーである地震波トモグラフィーです。
結論
- 震源からの時間を多数の場所で計測
- 地震計の精度と密度で信用度が左右
- 地球の内部を知る重要な方法
仕組み
先程触れたCT撮影の仕組みと大きくは変化こそしていませんが、当然ながら相手は人間ではなく変動する大地ですので違うところもあったりします。違うところと言ったらざっくり以下の箇条書きにまとめることが出来ます。
- 地震波を計測する
- 受け取るのは地球表面にある地震計
地震波を計測するというのは名前の通りですね。そしてCT撮影では様々な角度から放射線を受け取ることが可能ですが、地震波トモグラフィーでは(基本的には)地球表面にある地震計で地震波を受け取ります。そのため360度というわけにはいきません。
計測した地震波を他の観測地点と比較すると、当然ながらそれぞれの観測点で地震波の到達時間は変化しています。この変化具合は到達時間の差、すなわち地下構造の差から生まれる物なのですが、その変化具合から地下の様子を想定することが可能です。そのため直接というよりは若干間接的に地下の様子を知ることができるといったものです。
信頼性
そういったわけで信頼性を考える上で重要になることは地震計に関することです。地震計と一言にいっても、体温計の精度が様々であるように様々なクオリティのものがあります。そのため信頼できる地震計が存在することが、地震波トモグラフィーの精度を高めることに繋がります。
次の観点としては多数の地震計が存在することが挙げられます。地震波トモグラフィーでは「他の観測点と」比較する過程が必要となっています。そのため多数の地震計が存在することは、地下の様子をより細かく想定することを可能とすることに繋がります。このため、地震波トモグラフィーを積極的に用いることが出来る地域が地震計の観測ネットワークが充実している地域に限られてしまうという側面もまた存在します。
最後に
前回のざっくりわかる火山シリーズ: マグマだまりで何が起きているのか
私自身はあまり触れない分野であるため、内容が不足してしまっていることは否めませんが、ざっくり地震波トモグラフィーについて説明させていただきました。何らかの参考になれば幸いです。