山が無くなる「山体崩壊」

たまによくある大災害 / 2022-09-07T00:00:00.000Z

「山体崩壊」の文字面の強面さは極めて強いと言わざるを得ません。ではその山体崩壊はどのようにして起こるのかについてざっくりとまとめていきたいかと思います。

結論

  1. 不安定な形になる
  2. 山が崩れて低くなる
  3. 大量の土砂が山麓へと流れ込む

不安定になる

山体崩壊が発生する理由としては山が不安定になるというものが第一に挙げられます。この不安定になる原因というものそれ自体は様々なものがあり急速に何かが堆積したり、反対に構造を維持できないほど強く削られたりするといったことがあります。もちろんこれは抽象的な話なのでもう少し細かく見ていくと、

  • 火山性地震の頻発
  • 火山灰の堆積による不安定化
  • 激しい風化を受けたことによる不安定化

というものがあります。見ての通り火山絡みの原因が多いですね。そのため火山の山体崩壊が起こる事例は多数あるのですが、ここでは代表的な3つの事例を見ていこうかと思います。

1980年のセントへレンズ山

カルデラについて書かせていただいた記事で触れさせていただいたので、ここでは山体崩壊に関連する事象のみ扱わせていただきたいと思います。1980年のセントへレンズ山噴火では大規模な山体崩壊が発生しました。このビフォーアフターは山体崩壊の分かりやすい事例ですので最初に見てみましょう。

セントヘレンズ山噴火のビフォーアフター

画像は2つともWikimedia Commonsから引っ張ってきました。ビフォーの画像アフターの画像もUSGSのものです。FFmpegのvstackフィルターを使って画像をくっつけました。便利だねFFmpeg。

見てわかる通り山体の上部数百メートルがポッカリえぐれています。逆に言えばそれだけのものが全部でないとはいえ地上へと流れ込んだということです。

1888年の磐梯山

水蒸気噴火の例として出させていただいた1888年に発生した会津の磐梯山の山体崩壊もまた有名な事例です。

上記記事で詳しく触れているのであまり詳しく触れませんが、この時流れてきた土砂の一部は水の中へと入ったのですが、その跡地は現在でも「五色沼」として見ることが出来ます。

象潟の形成

「きさかた」という読みの初心者殺しの景勝地が秋田県に存在します。この象潟は松尾芭蕉の「おくのほそみち」にも描かれており、「象潟や雨に西施がねぶの花」という句を残しています。西施というのは中国四大美人の1人に数えられる人物で、「呉越同舟」の時代として有名な春秋時代に生きた人です。越の勾践が呉の夫差に対して贈った美女の1人としており、夫差は彼女に夢中になったことで政務をおろそかにしてしまったというくらい美しかったらしいです。つまり象潟にはそれくらい美しい花が咲いているような場所ということですね。

前置きが長くなりましたが、この象潟の形成にも山体崩壊が関わっています。紀元前にお隣の山形県に所在する鳥海山という火山が噴火しまた山体崩壊を起こしたことによって、ただの浅瀬~潟湖といった場所だった現在の象潟に大量の土砂が供給されました。また山体崩壊の結果流れ込んだ土砂はよく「流れ山」という特徴的な地形を残しますが、これだけが水面上に残ったことで風光明媚な象潟が作りだれました。

しかし現在の象潟には水がありません。これは象潟地震による隆起によるものなのですが、山体崩壊に直接関係はないのでここでは詳しく書きませんが、どこかで触れようかなとは思います。

火山以外でも

有名な山体崩壊の多くが火山で発生しているため基本的に話題の多くが火山となってしまうのですが、山体崩壊自体は普通の山でも発生しうる現象です。

代表的な例としては1961年に発生した長野県の大西山の事例が挙げられるでしょう。中央構造線のど真ん中にあるこの山にはミロナイトという細粒の結晶が集まった岩で構成されている層があったのですが、「三六災害」と呼ばれる梅雨期に発生してしまった豪雨によって山体を維持することが難しくなったことから崩壊してしまったことがあります。

参考文献

  • M. Kervyn, G. G. J. Ernst, J. Klaudius, J. Keller, E. Mbede & P. Jacobs (2008) Remote sensing study of sector collapses and debris avalanche deposits at Oldoinyo Lengai and Kerimasi volcanoes, Tanzania, International Journal of Remote Sensing, 29:22, 6565-6595, DOI: 10.1080/01431160802168137

関連リンク

最後に

前回のざっくりわかる防災シリーズ: 2022年パキスタンでの大洪水に関するメモ

タイトルとdescriptionで韻を踏んでみたのですが、内容はそんなことはどうでもよくなるレベルで重くなってしまいました。私が災害史をそれなりに好んで学んでいるので中身に災害の実例を入れているのですが、重すぎましたかね。

Writer

Osumi Akari