花崗岩がサラサラになる「マサ」

自然災害の間接的な原因にもなったりする / 2022-10-05T00:00:00.000Z

風化作用というのは様々なものがあります。その中でも特定の鉱物が含まれている岩石に対して強く働くものがあります。今回の記事ではそのような風化作用のうちの一つである、花崗岩のマサ化についてざっくりと触れていこうかと思います。

結論

  1. 風化されやすい花崗岩
  2. 細かくさらさらに
  3. 土砂災害の要因にも

花崗岩の風化

花崗岩という岩石が世の中に存在します。火成岩の中では比較的ネットリしているマグマから生まれるもので、結晶分化の視点から見ると割と冷えてきてから分化してきたマグマから生まれるものと言えます。風化作用の中でも化学的風化作用に分類されるものの一つである「溶解」は基本的にアチアチのカチカチマグマから生まれた火成岩の方が進行しやすいという特徴があるので、一見すればと花崗岩は風化に強いように聞こえます。

しかしながら花崗岩は風化されやすい岩石として知られています。花崗岩は深成岩に分類される岩石ですから、当然ながら地表と比較して高温高圧の環境から地表へと現れてきます。この環境変化が原因となり、冷却による割れ目や反対に圧力がなくなったことによる膨張による裂け目が発生することがあります。また花崗岩に含まれているメイン鉱物の一つである長石は変質を受けて粘土鉱物となり花崗岩から脱落しやすい傾向にありますが、もう一つのメイン鉱物である石英はその傾向はありません。

そうして風化が進んだ結果、石英をメインとする砂のようなものが花崗岩から形成されます。こうして生まれた花崗岩生まれのサラサラな砂のことを「マサ(真砂)」と言います。また花崗岩が風化してマサとなることそのものを「マサ化」と言います。

ちなみに「粘土細脈」と呼ばれる物が特に西日本の花崗岩地帯で見受けられることがありますが、これは風化してできた花崗岩の空隙に粘土鉱物が詰まって生成された物があるそうです。逆に粘土細脈が発見されれば、その地域の花崗岩は風化が進んでいると判断できる可能性があると言える可能性もあります。(曖昧な文章になりましたが断言できないので許して)

マサ化した土壌のムーブメント

こうしてマサとなった花崗岩の特徴として、塊としての繋がりがマサ化が進行していない花崗岩と比較して弱いということが挙げられます。当たり前と言えば当たり前ですが。ところでこれをちょっと違う視点から見るとちょっとしたことで崩れやすいとも言えます。つまりマサ化が進んでいる地域では土砂災害の発生リスクがそうでない地域と比較して高い傾向にあると言えます。

例としては2014年に発生した広島県での土砂災害があります。詳細については「良質な記事」として認められているリンク先のWikipediaを参照していただきたいのですが、この土砂災害の直接的な原因は豪雨による斜面の含水量の増加です。しかしながらこの地域はマサが多く、それが被害の拡大につながったという見方もあります。

今回の災害では、花崗岩類と変成作用を受けた堆積岩類(ホルンフェルス)、流紋岩類が分布するような地域で、同じような豪雨を受けて土石流が集中して発生した。ここでは地質の違いによる流出土砂量や土石流発生密度の違いは明確に認められなかったが、地質の違いにより、巨石の到達距離、土石流流下経路の侵食・堆積状況等に違いが認められた。

海堀 (2016)より

とは言いつつも、県の資料(PDFファイル)の33ページを見る限りだと明らかに花崗岩の影響が被害の甚大化に影響したと言えなくもない感じがします。自分で話を出しておきながら放棄する様で申し訳ないのですが、文献があまりに多すぎて読み込みが十分に出来ていません。この記事の中でマサが被害の拡大に繋がったと断言はできませんが、そういった見方がないわけではないということを知っていただければ幸いです。眠い。

参考文献

関連リンク

最後に

水蒸気噴火溶岩流しかり、山体崩壊しかり、私は災害の実例を出すのが大好きなので今回も出してしまいました。というよりこういった話は実例がないと説明が難しいんですよね。書いているこっちが重い気分になるので避けられるようにしたいとは思っていますが…。