鍾乳洞という石灰岩の洞窟

水と化学的侵食のコラボレーション / 2022-11-04T00:00:00.000Z

鍾乳洞」という洞窟の種類をご存じでしょうか。鍾乳洞というのは基本的には石灰岩という岩石が広がっている場所に形成された洞窟で、そのまま「石灰洞」と呼ばれることもあります。何が「鍾乳」なのかよく分からないという意見には非常に納得がいくので、個人的には義務教育期間内は石灰洞で統一していいと思っています。

鍾乳洞は石灰岩が溶食を受けて作り出される「カルスト地形」分類されることもあるもので、普通の洞窟とは異なる特徴を多数持っています。JR東日本パスという便利な切符を使って「龍泉洞」という鍾乳洞へ行ったというフレッシュな経験もあるので、鍾乳洞についてざっくりかつ経験を忘れないうちに書いていこうかと思います。

結論

  1. 石灰岩が地下で溶食を受ける(それだけじゃないけど)
  2. 独特の微地形
  3. 石筍やつらら石など特徴的なスタイル

溶けて出来る?

実は私、前文で若干噓をついています。というのも鍾乳洞と石灰洞は必ずしも一致しないということをわざとぼやかしています。そのため前文の「石灰岩という岩石が広がっている場所に形成された洞窟」というのは石灰洞の説明なら何ら問題ないのですが、鍾乳洞の説明としては若干の誤りがあります。責任回避のために"基本的に"という万能ワードを付けておきました。

これは鍾乳洞が必ずしも石灰岩の内部に出来るとは限らないことに由来する問題です。例えば長崎県西海市には「七ツ釜鍾乳洞」という鍾乳洞があるのですが、この鍾乳洞は石灰岩の内部に存在するわけではありません。しかしながられっきとした鍾乳洞です。このような事態は洞窟の周りから炭酸カルシウムが入り込んできたことから、洞窟の骨格自体は石灰岩と関係がないものの、その内部は石灰岩関連の堆積物で埋め尽くされているという状態によって引き起こされます。そのため、石灰洞ではないものの鍾乳洞ではあるといった事態が稀によく起こります。

一応曖昧のまま話を進めたくなかったので初めにギュッと圧縮して書いちゃいましたが、要するに「鍾乳洞≒石灰洞」であるという話です。そのためこれより下の文章を含む一般的には鍾乳洞と石灰洞を同一視していいものの、場合によっては同一視してはいけない場合があることに注意して以下の文章を読み進めていただけると幸いです。

溶食を受ける

さて、詳しい話は溶食の記事を見ていただきたいのですが、石灰岩の主成分である炭酸カルシウムは雨水に若干溶けている二酸化炭素の影響で、炭酸水素カルシウムとなり水に溶けます。そのため石灰岩には水の流れる力による物理的侵食作用の他に、この溶けることにより起こる化学的侵食作用が働きます。

化学的侵食作用として分かりやすいのは、地表に現れる「ドリーネ」でしょう。ドリーネは化学的侵食をじわじわと続けて表われる穴ぼこで、石灰岩が地表に広がっている限り容易に形成されることから、秋吉台などの石灰岩が広がっている場所においてはボッコボコになった地表面を眺めることが出来ます。

しかしながら化学的侵食作用は地表のみで起こるものではありません。例えば水平に堆積した地層の境目に水が入り込んだ場合、侵食は重力方向に進むだけではなく境目にあるわずかな割れ目のようなものを縫うようにして進んでいきます。またこれに限らず既存の穴をさらに広げるといった方向で侵食が進んでいくといったことがあります。このようにして横向き縦向き双方の侵食を受けることによって鍾乳洞は形成されていきます。

独特なスタイル

ここまでは基本的に侵食による鍾乳洞の形成のお話でしたが、実際に鍾乳洞を訪れてみるとその内部は大変特徴的な見た目をしていることが多いことが鍾乳洞の特色として挙げられます。まずは私がこの間訪れた鍾乳洞の1つである「龍泉洞」の写真を見ていただきましょう。

龍泉洞の第一地底湖を展望台から望む

この鍾乳洞は様々な色の照明でライトアップされているので表面が色づいていますが、実際には(不純物によって変化するものの)白や透明に近しい色が見られます。注目してほしいのはそこではなく石の表面です。石の表面が泡のようにもこもこしていることが分かるかと思います。また左上や右上の部分においては直線的な表面をしているといえます。このように鍾乳洞の表面には様々な特徴的な形状が見られます。

このような形状は侵食ではなく鍾乳洞の内部における堆積によって作り出されます。炭酸水素カルシウムを含んだ水がドバドバと内部を駆け抜ける鍾乳洞も少なくありませんが、小さい穴からぽたぽた垂れてくるような鍾乳洞も少なくありません。水量が堆積したものを押し流してしまう程卓越していない場合においては溶食の反対である堆積が発生し、石灰岩や方解石となって洞窟の表面(上部に限らない!)に積もっていきます。

そのようにして形成されるものとして有名なものは以下のようなものとなります。

  • つらら石
  • 石筍
  • 石柱
  • フローストーン
  • 洞内真珠
  • リムストーンプール

つらら石というのは洞窟の上部で形成される、文字通りつららのような形をした石です。つらら石本当に水から出来てる氷柱と同じような出来方をしています。石筍はその反対で、洞窟の底面に形成されるものです。同じところにぼたぼた炭酸水素カルシウムを含んだ水が落ち続けることによって形成されます。またこの2つが合わせて成長を続け、結果的にくっついてしまうこともあります。そうしてできる柱のようなものをそのまま石柱といいます。分かりやすいですね。

フローストーンというのは名前の通り、炭酸水素カルシウムを含んだ水が流れて形成される表面が丸みを帯びた堆積物です。先程示した「泡」の周辺にあるものがその例です。

リムストーンプールトルコのパムッカレが分かりやすいものだと思います。パムッカレにおいては段々畑のようになった滝が見られると思いますが、これがリムストーンプールの実例です。それなりに水がゆっくりと流れている場所で形成されるリムストーンプールは、水の流れが相対的に遅くなるプールの「淵」で炭酸カルシウムが特に堆積し壁のように高く積もっていってしまうことから作られます。このプロセスが数回にわたって繰り返されるとパムッカレのような段々畑のようなものが形成されます。

関連リンク

最後に

鍾乳洞は洞窟の中でもかなり尖った特徴を持つ洞窟だと思っています。この記事に入れられなかった話題も多数あるので、興味があればもっと深堀りしてみてください。

また日本に一般人が立ち入ることの出来る鍾乳洞はそれなりにあるので、お近くに鍾乳洞が存在するのならばぜひ行ってみてください。多分めちゃくちゃ楽しいので。

Writer

Osumi Akari