ファンデルタの分類

書いていて学びしか得られなかった / 2023-01-27T00:00:00.000Z

前回の記事においては「ファンデルタ」という概念を紹介させていただきました。この記事においては (主に私が理解を深めるため) その分類方法について紹介していこうかと思います。

結論

  1. 三角州の分類方法を応用
  2. 堆積モデルは扇頂と海岸までの距離を考える必要が

砕屑物・波力

ファンデルタを分類する方法は三角州のそれと同じように様々な方法がありますが、代表的な分類方法として砕屑物の供給量の多少及び波力の強さを基に分類する方法があります。自明なことだとは思いますがこの2つの指標は独立していますので、これらの指標に基づいて分類を行うと、以下の表のように4種類のファンデルタに分類することが出来ます。

供給量小供給量大
波力大A: 供給小/波力大B: 供給大/波力大
波力小D: 供給小/波力小C: 供給大/波力小

これは三角州の分類と類似しているので理解しやすいですね。それぞれの特徴としては、Aは内陸に奥まった形のファンデルタになりやすく、湾入状三角州のような形状になることが知られています。BとCについては存在感のあるファンデルタになりますが、Cは網状に河川が発達しやすいのに対しBはそうではないことが指摘されています。結果論に近しいものでしょうが、Bにおいては波による侵食が強いためそれに打ち勝つ量の砕屑物を供給できる流路のみが維持されているのに対し、Cにおいてはそうではないことが原因として考えられます。Dについてが島が多いようなファンデルタになることが知られています。これは侵食の力及び堆積する砕屑物の供給共に不足していることによって生じるものと理解できると思います。

輪切り

このサイトでは省略されがち…というか層序学についての解説を追加してから追加する必要があるので書いていないコンテンツとして、もう既に積もってしまっている地形、すなわち露頭から過去にどのような形のシステムが形成されているかを導くかというものがあります。「ざっくりわかる堆積システムシリーズ」という名前なのにそれはどうなんだというツッコミが聞こえてきそうなので、ファンデルタにおける分類について書くことで当面のお茶を濁させていただこうかと思います。

輪切りにしたファンデルタの形状としては大きく分けて3種類のものが知られています。といってもどちらかと言えばファンデルタをどのような観点で見るのか・具体的なファンデルタがどのような場所で形成されたのかという視点が大きく反映されていますので、対立するようなものではないかと思います。これを念頭に置いた上で話を進めさせていただきます。

まず初めに「Slope Model」と呼ばれる考え方です。ファンデルタの海中部分に急激に水深が増加する「スロープ」が存在しており、これを挟んで全体としては1つのファンデルタであるものの、「ファンデルタ」と「サブマリンファンデルタ」の2つに分かれているとするものです。これはファンデルタは陸上部分で完結せず海中においても堆積が形成され続けていることを重視した見方であると言えます。陸上部分においてはあまり淘汰されていない層が、海中部分においてはそれなりに淘汰された層が堆積するとしていますが、これは堆積の速度の違いとして説明できそうです。なおここにおけるスロープの存在はファンデルタ云々というよりはファンデルタが形成される以前の地形(ファンデルタ関係なしにある程度海岸から離れると水深が急速に深くなる)に大きな影響を受けています。扇状地の記事において扇状地が形成される理由は周辺環境の大きな変化であるとしましたが、それと同じようなことが海中でも起こっているということですね。

次に「Shelf Model」と呼ばれる考え方について触れていきましょう。これはファンデルタが形成される場所は根本的に等深の海であり、先述のようなスロープの発生原因である地形はそもそも存在しないものとして扱われています。ここにおいては陸上における一般的な扇状地と(Slope Modelと比較すれば)より似たような堆積層が形成されるので、受け入れるのはそれなりに自然なものである思います。前回の記事で触れさせていただいたアラスカのCopper Riverのファンデルタがこの例に合致するとのことなので、具体例となってしまいますが詳しいことはそちらを参照すればある程度は理解できるかと思います。

最後に「Gilbert-type Model」というものの紹介をさせていただこうかと思います。この名称は現在のソルトレークシティ付近に所在し、更新世まで存在したと言われている「Lake Bonneville」の研究を行ったギルバートさんに由来するものです。これはファンデルタというよりも一般的な扇状地のモデルとしても活用されるものなので、ここでははあまり詳しくは解説しませんが、地上と海中を明瞭に分けており、地上部分全てをファンデルタの上部として位置づけていることが大きな特徴でしょうか。

参考文献

  • Wescott, William A.. Ethridge, Frank G. "Fan deltas ― alluvial fans in coastal settings" Alluvial Fans: A Field Approach John Wiley & Sons, 1990.

最後に

次回のざっくりわかる堆積システムシリーズ: 海底にも地形はあるという

ソースがかなり古いものとなってしまっているので最新の知見を反映できていない点は普通に反省するべきですね。年末を乗り切れば余裕が出来るかなと思っていたのですが、年度末に向けて色々なものが詰みあがってしまい、このサイトに割ける時間が単調減少してしまっており…。

Writer

Osumi Akari