共テ2024年基礎無し地学大問3を勝手に解説

ずっしりと、でもちゃんとした固体地球問題 / 2024-01-17T00:00:00.000Z

共通テストとなって3回目の試験が2024年1月13日・14日に行われました。というわけで2024年基礎無し地学を勝手に解説していきたいと思います。さすがに全ての内容を一日の記事にしてしまうと長くなってしまうので大問ごとに分割してみました。この記事は大問3について扱っています。それでは、見ていきましょう。

注意

  • この解説に付き、大学入試センターやその実施大学と一切関係はありません。
  • 著作権関係の問題が発生する可能性がありますので、試験問題そのものの転載はしておりません。そのため大学入試センターや新聞社のWebサイトなどから問題を入手されることをおすすめします。
  • この記事における内容の正確性は一切保証しておりません。

問1 - 鉱物をグループに

輝石・黒雲母・石英・かんらん石をグループ分けする問題です。この問題においては単純にグループ分けするのではなく、既に分けられたものがどのようにして分類されたかを当てる問題です。多くの方は斑糲岩の主な構成鉱物を明瞭には覚えていないでしょうから、残りの有色鉱物か無色鉱物かと、劈開の有無から絞っていった方が効率的ではないかと思います。

実物を触ったことがある人なら分かるかと思いますが、この中で石英のみが透明な無色鉱物です。また劈開は輝石と黒雲母で明瞭に表れます。すなわち3番が正答となります。この問題においては鉱物の実物を触ったことの有無が大きく現れるのではないかと思いますので、機会がありましたら学校や博物館、もしくは野外で触れておくことをおすすめします。

問2 - ねっとりマグマ

この問題においては、イエローストーン国立公園の写真を見ながら謎の会話をしている人の会話の穴埋めをします。話題になっている点としては流紋岩質マグマとそれが作った地形です。

マグマ噴火には様々なタイプが存在します。このタイプを特徴づけているものとしてマグマがどのようなものかどうかがあります。マグマは結晶分化作用によってさまざまな種類に分かれますが、玄武岩質マグマは「シャバシャバ」、流紋岩質マグマは「カッチリ」といったような粘度の差が存在します。

マグマ噴火の概要

また流紋岩質マグマが大量に噴き出した後は(陥没)カルデラが形成されることがあることが知られています。簡単に言えば上の画像に存在する赤いマグマがポッカリと無くなってしまうことによって地面が陥没してしまうことです。以上のことから正解は5となります。

問3 - 状態図と実際

この問題においてはAl2SiO5鉱物の圧力-温度の状態図が与えられ、その上で実際の沈み込み帯上に設定された特定の点においてどのような鉱物が形成されるかを判定する問題です。

与えられた点の条件を図から正しく読み取れば簡単な問題です。深さ20kmで600~800度であったA点では珪線石、深さ40kmで400度であったB点ではらん晶石となります。というわけで正答は4となります。

問4 - 第四紀の環境を化石から

環境や時代の推定に化石が役立つことがあります。それらの化石のことを「示相化石」といったり「示準化石」といったりします。「堆積相」という言葉が存在するように「相」という言葉には「その有様」といった意味があります。すなわち環境を示す化石は示相化石と言います。

また第四紀の代表的な示準化石としてはマンモスやナウマンゾウが存在します。このことから正答は3となります。

問5 - 表と日本語を読み取る

この問題はどちらかと言えば日本語を丁寧に読み取る必要性があります。この問題においては、地点Xにおいて 4種類の化石A~D全て が発見されている状況で、それぞれの貝化石がどの深さに生存していたかを示す表を基に地点Xがどのような深さにあったのかを推測します。

先述の通り4種類の化石全てが発見されていることから、それらが全て生存できる領域を考える必要があります。A~Dの中で生息できる水深が全て被っている領域は20~50mです。というわけで正答は3となります。

問6 - 褶曲のある地質図を読み取る

地質図を読み取るタイプの問題です。初めにありえない選択肢として4と5を弾きます。地質図だけからは明確にどこから運ばれたのかを推測することはかなり難しいことです。またこの地質図を目にした際にまず読み取るべき要素として、褶曲の存在があります。褶曲が存在することによって考えられることは多くあり、この問題の選択肢を効果的に減らすことが出来ます。

地質図を見ると傾斜の向きは南東と北西の2種類が存在します。このことは向斜構造の存在を示しています。またこの褶曲は北西-南東方向の圧縮によって形成されていることが分かります。また向斜構造が出来る前のことを考えると、外側から内側に向かって堆積していたことが理解できます。というわけで正解は2と6となります。

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最後に

昨年度のものと違いジオくんは登場しませんでしたが、かなりずっしりとした問題であったと思います。一方きちんと学習していれば取れる問題も多く、地学ときちんと学んでいたかが大きく問われる良い問題であったと思います。

Writer

Osumi Akari

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