「Liquid Network」は、Blockstreamなどによって運営されるビットコインのサイドチェーンかつL2チェーンで、2018年から稼働し続けています。多くのサイドチェーン・L2ネットワークと同様に、ビットコインのセキュリティなどの恩恵を受けつつ、より高速かつ低コストに送金を行うことが可能となっています。
9月6日23時頃、突如Liquid Networkのフェデレーションウォレット(ビットコインネットワーク上においてLBTCの裏付けとなるビットコインを保管しているウォレット)から、およそ4000BTCが外部へと送信されました。この記事ではその概要と影響に関して簡単にまとめていきます。
結論
- 自称ホワイトハッカーによりLiquid Networkから約4000BTCが流出
- Liquid Network上でブロック生成が停止
- SideSwapのペグアウトキーが何かしらの形で用いられたとみられるが原因不明
4000BTCが流出、チェーンが停止
2026年9月6日23時28分(日本時間)に行われたビットコイン上のトランザクションにおいて、Liquid Networkが管理するアドレスからおよそ4000BTCが外部へと流出しました。このアドレスに保管されているビットコインは主にLiquid Networkが自らのネットワーク上で発行する「LBTC」の裏付けとして用いられています。

Liquid Networkは公式X上において「セキュリティインシデント」を認識しているとし、約3億2000万ドル相当のビットコインが外部に流出したとしています。また、ビットコインネットワークとのブリッジを停止したことに伴って、 Liquidネットワークそのものが停止 し新たなブロックが生成出来ない状態となっていることがアナウンスされています。
We are aware of a security incident on @Liquid_BTC. Purported white-hat hackers have withdrawn ~4,000 BTC (~$320 million) from the Liquid Federation wallet. The @Blockstream team is working on contacting them on-chain with a signed message.
— Liquid Network 🌊 (@Liquid_BTC) September 6, 2026
What we know so far is that the funds…
当該トランザクションにおいては「we are whitehats. contact us on chain」などと記されており、オンチェーン上でのコミュニケーションを求めると同時に自らをホワイトハッカーであると主張しています。これに対してBlockstreamは通常のメールによるセキュリティー報告を求めるとオンチェーンで返答しています。
ハードウェアウォレット「Ledger」のCTOであるCharles Guillemet氏は「ホワイトハッカー」によるものという主張を疑問視しています。Guillemet氏によれば、真にホワイトハッカーであれば、資金を抜き取る以前に責任ある開示を試みるはずであるとしており、このような連絡手法は、2024年に発生したRoninチェーンからの流出や、2023年に発生したEuler Finance事件を彷彿とさせるとしています。
They now ask to be contacted on Signal.
— Charles Guillemet (@P3b7_) September 6, 2026
It doesn't look like usual white hats practices, but usual criminal orgs don't usually try to contact their victims either.
There's hope. This could be people with good intentions that intensively played with recent LLMs and are not used… https://t.co/nb1p9COUqS pic.twitter.com/TxjH9t9sfZ
原因
現在進行中の事案であるため、はっきりとした原因は不明です。Liquid及びSideSwapによると、何かしらの原因でLiquid Networkメンバーの一員たるSideSwapが保有しているペグアウトキーを用いて、攻撃者が約4000BTCを引き出したことは明らかとなっています。
Statement on today's Liquid incident
— SideSwap (@side_swap) September 6, 2026
Today at 14:05 UTC a customer sent 4,000 L-BTC to the SideSwap peg-out service. Our service processed it like any other order: the L-BTC was burned on Liquid with a valid peg-out authorisation, and at 14:28 UTC the Liquid Federation paid…
SideSwapはこの流出に関する声明の中で、ビットコインの技術をベースとしたブロックチェーンを構築するためのオープンソースソフトウェアである「Elements」のバグが原因であると主張しています。
これはXユーザーによるトランザクション解析においてもその可能性が指摘されており、Elementsが関係している可能性があります。しかしながら当該ユーザーはSideSwap側にも問題がある可能性も指摘されており、詳細な原因は現状不明となっています。
here are the transactions that caused the liquid consensus split and inflation bug, prior to the peg-out
— stu 🥪🥞 (@stutxo) September 6, 2026
1. two valid setup txs primed the rangeproof cache:
https://t.co/YbdrIfJ86x
https://t.co/UVERCRnFuX
2. follow-up tx carried a garbage 4234-byte "proof" with an identical…
関連リンク
- Liquid Networkで約4000BTC引き出し──ネットワークを一時制限 - NADA NEWS
最後に
進行中の事案であるため、書けることは少ないですが一旦まとめてみました。ブロックチェーン関係で責任ある開示が話題になるのはCosmos EVMが記憶に新しいですが、こんな短い期間で連続するのは少し不安になります。
一方、被害の封じ込めに関しては極めて上手くいっていると感じており、ある程度パワーのあるチームによる運用の重要性を知らしめている事例とも言えるかもしれません。個人的には「Code is Law」という感じで無停止でずっと走ってほしいですが、人間に原則を作らせるのはまだ早かったということにしておきたいなとも思ったりしてみています。