Claude[.]ai(チャット)等で「思考レベル」を選択可能に、新モデル「Opus 4.8」も同時にリリース

サブスクリプションを消化する「高速モード」もClaude Codeで利用可能に、2.5倍の速度を高めの価格で / 2026年05月29日

AI企業Anthropicが開発するサービスである「Claude」は、高い性能とClaude Codeなどの関連製品の利便性などから多くの指示を得ることに成功しています。モデルそのものには以前から「思考(Thinking)」機能が追加されており、これによって性能を向上することが可能となっていました。

いずれのモデルにも「思考」機能は存在していましたが、上位モデルのOpusや中位モデルのSonnetでは思考の「レベル」を、思考のオンオフに加えて設定することが可能となっていました。しかしながら、主要サービスである「Claude.ai(チャット)」では思考のオンオフのみ可能な状態が続いており、ユーザーはAPI経由やClaude Codeで使用する場合でレベルの指定を行うことが可能となっていました。

日本時間5月29日より、「Claude[.]ai(チャット)」及び「Claude Cowork」において 思考レベルを変更できるようになった ことが発表されました。また 新モデルである「Opus 4.8」が同時に発表 されたほか、Claude Code関連の新機能も同時に公開されました。この記事ではこれらの概要と設定手法を簡単にまとめます。

結論

  1. チャットをする際にも思考レベルが変更可能に
  2. 新モデル「Opus 4.8」も同時に使用可能に
  3. 購入する必要があるクレジットを必要とする「高速モード」や「ダイナミックワークフロー」もClaude Codeに

思考レベル

思考レベル(Effort Level)は、Claude Opus及びSonnetにおいて導入されている概念であり、思考を行う際にどの程度「努力」を行うべきかの目標と言えるものです。Claudeは低い「思考レベル」に対しても複雑な課題に関して十分なレベルの思考を行うとされていますが、AnthropicがClaude Codeにおいてデフォルトの思考レベルを下げた際には「性能が下がった」と話題になったこともあり、重要な設定の1つです。

2026年5月29日現在のClaudeデスクトップアプリのスクリーンショット。Sonnet 4.6が選択されており、デフォルトの思考レベルである「Low」が選択されている

これまでClaude CodeやAPI経由で使用する際にレベルを選択可能でしたが、5月29日よりClaude[.]aiにおけるチャットを使用することが可能となりました。2026年5月29日の朝現在、私の手元において調査したところデフォルトの思考レベルは以下のようになっています。

モデル デフォルトの思考レベル
Opus 4.8 High
Opus 4.7 Extra
Sonnet 4.6 Low

なお、マシン上で複数ステップの作業を実行することが可能なツールであるClaude Coworkにおいても、チャットと同様に思考レベルを選択することが可能となっています。一般的に思考レベルを上げることによって性能を高めることは可能ですが、使用量が増加してしまうほか出力されるまでの時間が伸びてしまうという課題がありますので、タスクレベルに応じて調整を行うことを推奨します。

Opus 4.8

これと併せて、Anthropicは上位モデルである「Opus」の最新版である「 Opus 4.8 」を公開しました。これはOpus 4.7よりも性能が向上しており、OpenAIのGPT-5.5よりもより良いベンチマークスコアを示しています。

特に正直さ・AIアライメントに関して優れた性能を持っていることが示されており、AIアライメントに関してはOpus 4.7よりも高い性能を持っており、未だ公開されていない最先端モデルである「Claude Mythos Preview」に近しいとされています。なお、デフォルトで設定されている思考レベルは「high」となっており、この理由をAnthropicは以下のように説明しています。

Opus 4.8ではデフォルトで「high」の思考レベルが選択されています。これは品質とユーザー体験のバランスが最も優れていると当社が判断した設定です。コーディングタスクにおいては、この設定はOpus 4.7のデフォルト設定と同等のトークン数を使用しながら、より優れたパフォーマンスを発揮します。

ユーザーは「extra」(Claude Codeでは「xhigh」)または「max」オプションを選択することで、さらに多くのトークンを消費してより良い結果を得ることが可能です。特に難易度の高いタスクや長時間にわたる非同期ワークフローには「extra」設定の使用を推奨します。

「high」設定によるトークン使用量の増加に対応するため、Claude Codeではレート制限を引き上げています。ユーザーのプロジェクト要件に応じて最適な設定を選択してください。

このため、特にClaude CodeでOpus 4.8を使用する場合は、単にOpusのバージョンを切り替えるだけではなく要件を検討する必要があると思われます。Claude Codeにおいてはレート制限が引き上げられているとのことですので、ある程度高い設定を用いても問題とならない可能性が考えられます。

Claude Codeの新機能

さらにClaude Codeに対して「高速モード」と「ダイナミックワークフロー」が、研究プレビューという形で追加されました。いずれもコストが大幅に増加する可能性がある機能ですが、ユースケースによっては便利な可能性があります。

高速モード

Claude CodeでOpusモデルを使用する際において「 高速モード (Fast Mode)」が導入されました。これは名前の通り、Opusを使用しつつその出力を高速にするモードで、公式ドキュメントによれば、より高い費用が掛かるものの出力は2.5倍のスピードが出せるとのことです。「高速モード」自体は思考レベルとは異なる設定項目であるものの、思考レベルも出力速度に対して影響を及ぼしているため、高速モードを使用する際はより低い思考レベルにすることが推奨されています。

この高速モードは、Opus 4.6・Opus 4.7・Opus 4.8を使用する際に、 /fast を入力することによって起動することで可能です。ただしOpus 4.6の高速モードは近日中に廃止されることがドキュメント中に明示されていることに留意する必要があります。なお、Sonnetなどを使用していた際においても、自動的にOpusへモデルが変更されます。

また注意が必要な点として、この 高速モードを使用する際にサブスクリプションに含まれておらず、購入する必要のあるクレジットを消化する追加使用量を必要 としています。このため、応答速度が重要となるユースケースに使用することが推奨されています。

ダイナミックワークフロー

「ダイナミックワークフロー」はこれまで提供されていたPlanモードとは異なり、1回のセッションで多数のサブエージェントを実行できるオーケストレーションスクリプトを動的に記述する機能です。これによって極めて大規模なプロジェクトにおいても適用可能であるとされており、コードレビューなども含めて様々なエージェントを自動的に作成し、目標達成まで数時間から数日かけて実行可能であるとされています。

この機能はMaxプラン・Teamプラン・Enterpriseプランの加入者向けに提供されているとのことです。公式ブログ記事によれば、JavaScriptランタイムである「Bun」のZigからRustへの移行はこれを用いられたとのことです。

ダイナミックワークフローが大規模に実現する可能性を示す好例として、最近行われたBunのリファクタリングが挙げられます。

ジャレッド・サムナー氏はダイナミックワークフローを活用し、Zigで記述されていたBunをRustに移植しました。この際、既存のテストスイートの99.8%が問題なく動作し、約75万行のRustコードを生成、最初のコミットからマージまでに要した期間は11日間でした。具体的には、1つのワークフローでZigコードベース内の各構造体フィールドに対して適切なRustのライフタイムを割り当てました。

別のワークフローでは、全ての.rsファイルを対応する.zigファイルと動作が同一になるように移植し、数百のエージェントが並行して作業を行い、各ファイルに対して2名のレビュアー(訳注: ここにおけるレビュアーは人間のことではなくAI)がチェックを行いました。その後、修正ループによってビルドとテストスイートを実行し、両方が問題なく通過するまで繰り返しました。移植が完了した後は、夜間に実行されるワークフローで不要なデータコピーの問題に対処し、それぞれについてプルリクエストを作成して最終的なレビューを行いました。

現時点ではまだ本番環境には導入されていませんが、これらの一連の作業は全てダイナミックワークフローによって実現されました。ジャレッド氏は今後、このプロジェクトについてさらに詳細な記事を執筆する予定です。

上記のように多数のエージェントを起動することがあり得ることから、トークンを非常に消費する可能性が高い機能です。このため実行する際には注意が必要であり、スコープを適切に設定することが推奨されています。

関連リンク

最後に

思考レベルがようやく明示的に選択できるようになりました。ユーザーベースで性能と速度をある程度制御できるようになり、単なるオンオフよりも幅をもって設定することが出来ることは大変便利だと思います。

一方で、Haiku及びSonnetの新規公開がOpusの新モデル公開に比して行われていないのは不思議な点です。現状でも十分優れた性能を持っているとするのであればそれでも良いのですが、最新モデルであるSonnet 4.6のリリースは今年の2月17日Haiku 4.5のリリースに至っては昨年の10月15日と、Opusのリリース速度と比して極めて遅いものとなってしまっています。ダイナミックワークフローなどにおいては、その内部でSonnetやHaikuといった相対的に性能が低く低コストのモデルを活用するはずですので、今後のリリースでより良いものが出ることを期待したいです。

Writer

Osumi Akari

カテゴリ